「みんなの翻訳」は情報通信研究機構多言語翻訳研究室と東京大学図書館情報学研究室による共同プロジェクトであり、三省堂と国立情報学研究所連想情報学研究開発センターが開発に協力しています。
抄録 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故以後の経験から、野生のキノコに放射性セシウムが濃縮される傾向があることはよく知られている。本研究で、我々は、東電福島第一原発から30キロ圏内にある福島県川内村で野生キノコを収集し、放射性セシウム濃縮度を測定して、地元住民の内部放射線被曝リスク推定を試みた。154のキノコのうち125個で、100Bq/kgを超える放射性セシウムが検出された。日本の市民の平均消費量である年間6278グラム(20歳以上で、1日17.2グラム)を基準に預託実効線量を算出したところ、0.11-1.60mSvとなった。汚染された食料を数回食べたとし…
東京電力福島第一原発が2011年3月にメルトダウン事故を起こしてから3年が経過した。25年前の1986年4月、同じく国際原子力事象評価尺度でレベル7の悲劇的な事故がウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で発生した。チェルノブイリ事故後、生物学者が生物学のために標本とデータを収集することができるようになったのは、かなりの時間を経た後のことであった。生物学的研究の開始が遅れたために、電離放射線が生態系と住民に及ぼす影響に関する重要な情報が失われてしまった。同様の問題を繰り返さないよう、日本の生物学者たちは、国際社会の同僚の協力のもとで、2011…
抄録 東電福島第一原発事故後に定期環境モニタリングプログラムで収集されたエアロゾル及び雨水を綿密に分析した。2011年3月後半及び4月に収集された雨水のサンプル、エアロゾル及びヨウ素フィルターから、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137が検出された。2011年5月には、ヨウ素131とセシウム134は検出限界近くあるいはそれ以下となり、セシウム137は東電福島原発事故前の値に戻った。さらに、アエロゾルフィルターにおけるプルトニウムとアメリシウムの放射能濃度を分析した。これらの測定データを、1986年にスロベニアで収集したチェルノブイリ由来の汚染データ…
抄録:福島第一原発事故により放出された放射性核種が地球規模で環境中にどのように広まり、沈着したかのモデリングを行った。EMAC大気化学=全球循環モデルを用い、循環ダイナミクスはERA-Interim reanalysisデータに準じた。地理座標系で約0.5度(T255)の解像度を適用した。モデルは放射性同位元素としてヨウ素131とセシウム137の放出と移動、降水・粒子の沈澱・乾性沈着による移動プロセスを説明する。さらに、キセノン133の放出もシミュレートした。キセノン133は貴ガスで、汚染大気の受動輸送トレーサと見なすことができる。放出条件はChino et al (2011)…
抄録 本症例対照研究は、ウクライナで最も放射能汚染が高い地域(リウネ、ジトームィル、チェルニーヒウ、チェルカースィの各州)においてチェルノブイリ事故時に0歳から5歳だった子どもが、1987年から1997年の間に被曝を原因とする急性白血病に罹患するリスクを推定するために行われた。データとしては、1987年1月1日から1997年12月31日の間に白血病と診断された246ケースを収集した。各ケースを検証し聞き取りを行った。検証されたケースを、年齢・性別・居住形態(村落・半村落・都市)・行政地域でマッチングし無作為に抽出した492件からなる対照群と比較した。各…
2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故により、環境中に大量の放射性物質汚染が広まった。そのうち、ヨウ素129は長寿命の放射性核種で、数百万年にわたって環境中に残ることになる。本研究はまず、2011年6月に福島沖で採集された海水深度レベルごとのヨウ素129の濃度と無機スペシエーションについて述べる。福島沖40キロの海水表面において、ヨウ素129/ヨウ素127の最大原子数比2.2×10-9と、水面でヨウ素129の濃度が大幅に上昇していることが観察された。ヨウ素129の優占種はヨウ化物であり、ヨウ素127は主としてヨウ素酸塩であったが、これは、ヨウ素…
抄録 本症例対照研究は、ウクライナで最も放射能汚染が高い地域(リウネ、ジトームィル、チェルニーヒウ、チェルカースィの各州)においてチェルノブイリ事故時に0歳から5歳だった子どもが、1987年から1997年の間に被曝を原因とする急性白血病に罹患するリスクを推定するために行われた。データとしては、1987年1月1日から1997年12月31日の間に白血病と診断された246ケースを収集した。各ケースを検証し聞き取りを行った。検証されたケースを、年齢・性別・居住形態(村落・半村落・都市)・行政地域でマッチングし無作為に抽出した492件からなる対照群と比較した。各…
チェルノブイリ原発事故と東電福島第一原発事故をきっかけに、いわゆる低線量放射線の影響に対する関心が世界的に広まった。しかしながら、当惑せざるを得ないことだが、これまでの研究は、ソ連の科学研究と原子力産業が後押しした研究が中心で、それに独立した科学者が一部貢献しているという状況にある。Anders Pape MøllerとTimothy A. Mousseauが、低線量放射線が動植物や人間に与える影響をめぐる研究について案内する。 ・・・・・・ メンフクロウやラット、人間、ムラサキツユクサやタマネギに関する研究は、いずれも、放射線の負の影響を有意に示している。 …