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博物館所蔵の芸術作品の画像:オープンアクセスの経験

博物館所蔵の芸術作品の画像:オープンアクセスの経験(1)

博物館所蔵の芸術作品の画像:オープンアクセスの経験

11館の調査

Prepared for The Andrew W. Mellon Foundation

クリスティン・ケリー

2013年6月

著者について

クリスティン・ケリーはサンディエゴを拠点としたフリーランスの博物館専門家であり著作家である。独立契約者になる前に、J・ポール・ゲティ美術館の管理部部長として9年間を過ごし、ゲティ保存修復研究所で公共のプログラム作成とコミュニケーションを9年間監督した。彼女は米国で財団のためのプロジェクトをフリーランスで実施し、インドのパンジャーブ州政府で2年間仕事をした。東南アジアで芸術と建築に関する研究を継続して実施しており、その地域への旅に関する講演を行っている。ブリンマー大学(Bryn Mawr College)を美術史の文学士で卒業し、コロンビア大学で美術史と考古学のPh.D.を得た。

謝辞

この分野の多くの専門家のみなさんが、この調査を形作る上で支えとなり、急速に変化する画像の権利の世界を理解する助けとなりました。その貢献に対して謝意を示したいと思いますが、この報告書におけるどんな誤りも明瞭性の不足も、すべての責任は私にあります。

指導と助言、導入部と思考過程への助力に対して、アンドリュー・W・メロン財団の職員であるMariët WestermannとHelen Cullyer、Alison Gilchrest、そしてとりわけ借りがあるDonald Watersに感謝します。

Nancy Allen、Meg Bellinger、Susan Bielstein、Patricia Fidler、Kenneth Hamma、Christine Kuan、Max Marmor、Virginia Rutledge、Gary Vikan、Günter Waibel、Maureen Whalen、Deborah Wythe、Diane Zorich、みなさんはこの調査の変数を定義する手助けをし、確かな背景情報を提示し、示唆に富む質問をしてくださいました。Bridglandは編集と構成の大きな助けとなりました。

この調査に参加した博物館の次の職員に感謝申し上げます。その誰もが、とても忍耐強く、私がした多くの質問に率直に答えてくださいました:ロンドン大英博物館のAndrew Burnett;インディアナポリス美術館のAnne YoungとJennifer Anderson、Kathryn Haigh;J・ポール・ゲティ美術館とJ・ポール・ゲティ財団のSally HibbardとThomas Stewart、Cherie Chen、Jackie Burns、Monique Stover、Darcy Estes Pinelo;ロサンゼルス・カウンティ美術館のNancy ThomasとFred Goldstein、Amy Heibel;メトロポリタン美術館のCarrie Rebora BarrattとErin Coburn、Cristina del Valle、Peggy Hebard、Claire Dienes、Julie Zeftel、Shyam Oberoi;モルガン・ライブラリー(Morgan Library and Museum)のRobert ParksとMarilyn Palmeri;米国国立美術館のAlan newman;ヴィクトリア&アルバート博物館のJo ProsserとOlivia Stroud;ウォルターズ美術館のJames MazaとKate Blanch、Dylan Kinnett;イェール英国芸術センター(Yale Center for British Art)のAmy MeyersとMatthew Hargraves、Melissa Fournier;イェール大学アートギャラリー(Yale University Art Gallery)のPamela FranksとJohn ffrench。

要旨

2009年12月、アンドリュー・W・メロン財団は、所蔵美術作品の画像へのオープンアクセスについて議論するために博物館長会議を主催した。この会議は、その議題に関するさらに高水準の議論を促進するものと見られていた;それはまた、出席していたいくつかの博物館がオープンアクセスをめぐる問題を調査するきっかけとなった。

その後に、この調査の著者は2011年11月にメロン財団から委任され、ウェブサイトを通じて米国と英国の50近くの博物館の画像アクセスの方針と手続きを調査した。メロン財団の職員と協力し、より詳しく調査する博物館の数をこの報告書で取り上げた11の機関に絞り、それぞれの博物館に送る質問票(付録A)を作成した。質問票は2012年の5月と6月に開催された現場での議論の枠組みを形作った。著者は、職員の一人とだけ会うときもあれば、議論に関係した博物館の職務の様々な側面に責任をもつ職員集団と会うときもあった。探索された情報は、画像の権利に関する博物館の方針やその博物館がこのアプローチを取るに至った過程と理由、その方針の結果として生じた重要な変化、そのような変化が含み持つものに関連したものである。

著者はまた、この分野の多くの専門家と会い、話をした。その全員に、この報告書の冒頭で謝辞を述べている。

この報告書は、米国と英国の11の美術館における、所蔵作品とパブリック・ドメインの作品の画像使用に対する、現在のアプローチを書き記している。それぞれのアプローチにはわずかに違いがある。これらの機関の思考過程と使われている方法を紹介することで、この報告書は、所蔵作品の画像へのオープンアクセスを思案している他の博物館の意思決定に情報を提供することを意図している。

以下はこの報告書で提示された主要な研究結果である:

・オープンアクセスを提供することは使命主導型の決定である。

・異なる博物館は異なる方法でオープンアクセスを見ている。

・内部の過程が重要である。

・管理の喪失は、懸念としては次第に消える。

・技術が問題となる。

・収益は、多くの機関が考えているよりも問題とならない。

・変化はよいものである。

序論

この報告書は、米国と英国の11の美術館において、コレクションの基盤を形成する作品がパブリック・ドメインである場合に、所蔵作品の画像の利用に対する現在のアプローチを書き記している。ある作品がパブリック・ドメインだとみなされるとき、それはいくつかある理由の一つによって著作権の保護の下にない:著作権保護の対象となったことのないものかもしれない;著作権がすでに切れたのかもしれない;あるいは、その作品の著作権を主張する権利が失われてしまったのかもしれない。また、米国政府によって作成された著作物は著作権保護を受けない。ウェブスターのNew World College Dictionaryは「public domain(パブリック・ドメイン)」を「the condition of being free from copyright or patent and, hence, open to use by anyone(著作権や特許の制限を受けない状態で、それゆえ誰にでも利用が開かれている)」と定義している*1。

次の博物館がこの調査に含まれている:

・大英博物館(British Museum)、ロンドン

・インディアナポリス美術館(IMA: Indianapolis Museum of Art)、インディアナポリス

・J・ポール・ゲティ美術館(J. Paul Getty Museum)、ロサンゼルス

・ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA: Los Angeles County Museum of Art)、ロサンゼルス

・メトロポリタン美術館(MMA: Metropolitan Museum of Art)、ニューヨーク

・モルガン・ライブラリー(Morgan Library and Museum)、ニューヨーク

・米国国立美術館(NGA: National Gallery of Art)、ワシントンD.C.

・ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A: Victoria and Albert Museum)、ロンドン

・ウォルターズ美術館(Walters Art Museum)、ボルチモア

・イェール英国芸術センター(Yale Center for British Art)、ニューヘイブン

・イェール大学アートギャラリー(Yale University Art Gallery)、ニューヘイブン

それぞれの博物館は、所蔵作品の画像をより広くアクセス可能にするため、わずかに異なるアプローチを取ってきた。このグループの中で、あるものは、誰によるどのような目的の利用に対しても所蔵する芸術作品の高解像度デジタルファイルをオンラインに置くことで、先駆となってきた。またあるものは、非常に洗練された「有料と無料」システムをもっており、営利利用には画像の使用許諾を与え、その一方で学問的で学術的な利用には無料で与えることによって、収益の生成と学問の促進を巧みに調和させている。さらに、その個々の価値に基づいてそれぞれの要求を評価しているところもある。オープンアクセスに取り組むところがある一方、ただそれを思案しているところもある。これらの博物館の方針は、実践の領域で異なる点を表している。

この調査における博物館はすべて、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)の定義*2によると「large(大規模)」だと分類されるが、その予算は2000万ドル未満のものから3億ドル以上のものにまでわたる。百科事典のようなコレクションをもつものもあれば、専門分野に特化したコレクションをもつものもある。近代美術または現代美術の美術館は一つも含まれていない。それらの所蔵作品の多くは芸術家または芸術家の権利相続者(estate)のどちらかが未だに著作権を保持しているからである。加えて、この報告書は広報活動やその他の連絡を目的とした博物館の画像使用については取り扱っていない。

調査の理論的根拠

美術館は、画像の使用に料金を請求することで、長い間所蔵物の画像を管理してきており、その請求した料金は美術館の財源として役立つ。料金は、画像が学術的目的で利用される場合における形ばかりと言うに等しいものから、営利目的で利用される場合におけるかなりの金額にまで及ぶ。しかしながら、教育的な利用と学術的な利用に対しては、しばしば料金は免除される。画像からの収入がこの手続きの運営にかかる経費を賄うのはごくまれなことであるが、Allen(2009)が発見したように、博物館がこのアプローチを取り続けるのには歴史的な理由がある。

画像へのアクセスをめぐる考えは急速に進化してきており、今や事実上、すべての美術館がデジタル環境で活動を行っている。世界のその他のものと同様、博物館はその観衆とのやり取りに独自のまたはその他のウェブサイトを利用し、もちろん電子メールやツイッター、フェイスブック、その他のソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用している。博物館は所蔵作品の内容や情報、画像を即座に配布する。これらの画像の利用者は、学問分野の人であろうと一般大衆であろうと、インターネットの速度で動くことに慣れており、その画像も同様の速度で引き渡されるとだろうと考える*3。

過去数年にわたり、米国と英国のいくつかの美術館は、制限的なアプローチから所蔵作品画像へのさらなるオープンアクセスのアプローチに向かって意識的に動いてきた。この報告書はオープンアクセスに関する次の疑問に取り組んだ:

・博物館はデジタル環境で画像へのアクセスをどのように取り扱っているのか?

・方針転換が起きたなら、その理由は何か?

・博物館とその手続きに対する、組織的および財政的影響は何か?

・さらなるオープンアクセス・アプローチを取った博物館の事業への影響はどのようなものだったか?

・オープンアクセスに関してどのような選択肢が現れてきたか?

・もしあるなら、最初の障害は何か? どのようにして乗り越えたのか?

・オープンアクセス・アプローチを取る際、財政その他における、実際のまたは気が付いた障害は何か?

・教育的および学問的、学術的、営利利用に対する画像へのフリーアクセスについて博物館の間で合意はあるのか? もしそうであるなら、何を考慮するのか?

先行研究

2002年、ハートフォードシャー大学を拠点とした高等教育デジタル化部局(HEDS)は、英国と欧州の51の機関----文書館と博物館、画廊、図書館----における作品のデジタル形式とアナログ形式の画像の販売について調査する、メロン財団のための調査を実施した(Tanner and Deegan 2002)。多くの知見の中で、その調査が明らかにしたのは、インタビューの対象となった機関のどれ一つとして、画像処理に関連する費用(すなわち、生成と管理、保存、サービス提供の費用)をデジタル画像の販売単独では完全に回収できていないということだった。商業的権利からの収益を業務の一部として説明した機関のみが、いくらかの利益を示していた。重要なことは、調査対象の機関すべてが、利益を上げる必要性よりも資料への低コストのアクセスを提供する義務に重きを置いていたことである。

Tanner(2004)は追跡調査を実施し、ますますデジタル化する環境で米国の美術館における権利と複製の価格決定モデルと方針を調査した。その報告書で解明されたのは、博物館は次の三つの要素を所蔵作品の画像に関して考慮すべき最重要のものと見なしているということである:(1)収益(権利事業からの収入であり、組織の一般営業予算もしくは費用補填としてのサービス提供部門のどちらかに入れられる);(2)使用許諾(組織内の職員や外部の代行業者によって与えられ、管理される権利);(3)統制(管理主となる博物館の評判を高めて宣伝し、芸術家とその作品に敬意を払うことだとTannerは評す)。このうち、統制が最も重要な要素だとみなされる。

Ballon and Westermann(2006)は、その研究『Art History and Its Publications in the Electronic Age(電子時代における美術史と出版)』において、その他の話題の中から、博物館所蔵作品の画像の利用を出版者と学者の観点から研究した。彼らが主に推奨していることの一つは「学術研究と出版のために、あらゆるメディアと手頃な値段で、画像のアクセスと流通への障壁を打ち破り」始めることである。

さらに最近では、Allen (2009)はその報告書『Art Museum Images in Scholarly Publishing(学術出版における美術館の画像)』の中で、美術館が所蔵作品の画像の使用許諾に関して保持している想定の多くは、もはや有効なものではないかもしれないと結論付けた。使用許諾収入は画像の生成と引き渡しに伴う費用のいくらかを埋め合わせることができる。しかしながら、Allenは、美術館は総じて実際の費用を詳細に検討しておらず、純収入よりもむしろ粗収入を引き合いに出すということを発見した。また、技術への投資は費用のかかるものだが、画像がオンラインで利用可能なとき、博物館を越えた協力やより良いコレクション管理、より高水準の教育的アウトリーチ活動のような使命主導型の活動を支えるものだと発見した。一層のデジタル世界において、画像は携帯電話やデジタルカメラ、スキャナーで作り出すことができ、それらはワールド・ワイド・ウェブ上で豊富に見つかる。今では高品質画像を公衆が自由に利用できるようにすることを自らの使命の重要な一部だとみなす博物館もある。最後に、未だに二次元の美術作品の写真に著作権を主張する博物館もあるが、大部分はもはや複製に著作権表示をするよりも提供者名を載せたりそれを要望するだけでしかない。

報告書の第二部で、Allen (2009)は、メトロポリタン美術館(MMA)とヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)を含む、無料の画像を配布するために先駆的で異なるアプローチを取っている3つの博物館について論じた。彼女は、学者が画像を利用できるようにするためにMMAが現在のアプローチを取るに至ったその過程を詳細に調査し、美術館によるデジタル技術への投資と写真のドキュメンテーションの取り組み、アナログメディアの遡及的なスキャニングについて記述している。それらはすべてMet Imagesプロジェクトを始動する基礎を築いた。彼女はまた、学者に無料の画像を提供したいというMMAの要望をかなえるためにARTstorが開発した、学術出版用画像(IAP: Images for Academic Publishing)サービスを作り出すためのARTstorと美術館の協力を導いた要因と過程を説明した。IAPサービスは2007年春に開始した。加えて、V&Aが学術的利用と教育的利用に対してウェブサイト上で画像を無料で利用可能にすることを決定したその過程を取り上げた。Smith(2009)とMaron(2011)もまた、V&Aの意思決定過程を広く取り上げた*4。

議論と実践の現状

博物館は、パブリック・ドメインの所蔵作品のデジタル画像へのオープンアクセスを提供するべきだろうか? これは現在、博物館分野の専門職にとって関心を引く問題である。美術館長協会(AAMD: Association of Art Museum Directors)や米国博物館協会(AAM: American Association of Museums)、米国美術史学会(CAA: College Art Association)を含むいくつかの専門職集団の検討課題にはその問題があり、議論の話題はオープンアクセスを実行するために必要な技術から著作権に関連した法的問題、管理の問題、潜在的な収益に関する懸念にまでわたる。

2009年12月、メロン財団は博物館長が所蔵作品の画像へのオープンアクセスについて率直に議論する会議を主催した。この調査でインタビューを受けた多くは、その意見の中で、この会議はその話題に関する高水準の議論を明確に促進する働きをもつものだったという。幾人かの博物館長はこの会議でオープンアクセスについて考え始めた。

会議に出席していた博物館長の一人であるGary Vikanは、ボルチモアのウォルターズ美術館の元館長であり、画像へのアクセスの問題を調査するために2010年に招集されたAAMD特別委員会の元委員長であった。Vikanはオープンアクセスという考えについての多くの「うわさ話」を説明した。彼は、他の館が同様のことを行えば多くの博物館は画像への一層のオープンアクセスを採用すると思うと話したが、それに関わる技術的および財政的、理念的に考慮すべき事柄があることを認めた。委員会の目的の一つは、AAMD会員がオープンアクセスについての疑問や考えを議論することのできるフォーラムを作ることだった。

2012年5月ミネアポリスでのAAM年次総会において、二つのセッションが画像へのアクセスの話題に割かれた。一つは「Copyrights, Wrongs, and the Creative Commons(著作権の理非とクリエイティブ・コモンズ)」という題で、主にデジタル著作権の問題とオープンアクセスについて扱い、イェール大学アートギャラリーの経験についての話も含めていた。二つ目は「Got Images? How to License, Distribute and Leverage Collection Media(画像取得? コレクションメディアの使用許諾と配布、利活用の方法)」という題で、画像引き渡しのシステムと方針のためのロードマップを提供していた*5。

画像の利用可能性への関心を指し示すもう一つのものはARTstorの経験である。ARTstorのデジタルライブラリーは、元々アンドリュー・W・メロン財団のイニシアチブで、今では501(c)3の組織に区分されており、「教育と研究向けの利用可能なソフトウェアツール一式を備え、芸術と建築、人文科学、自然科学の150万以上のデジタル画像を提供する非営利の資源」である*6。ARTstorの画像は、非営利や学術、教育目的であれば、フリーで利用することができる*7。

ARTstorのIAPサービスに加わっている博物館とその他の文化遺産機関の関心は高まってきている。IAPサービスはMMAとARTstorとの協力にその起源をもつ。Met Imagesプロジェクトの一部として、MMAは学術出版に対して無料の画像を提供することを決定した;美術館は2005年から画像をARTstorに提供してきていたため、ARTstorの助力を仰ぎ、美術館の画像を学者や教育者に引き渡すための仕組みを開発した。2年間、MMAは事実上、IAPへの芸術の画像の唯一の提供者だった。ブリンマー大学(Bryn Mawr College)は2009年に画像を追加し、ゲティ研究所(Getty Research Institute)とノースウエスタン大学図書館、インディアナポリス美術館、ウォルターズ美術館、ダラス美術館、イェール大学アートギャラリーは現在の寄与者である。カリフォルニア大学アーバイン校とプリンストン大学美術館のいくつかのコレクションはARTstorのウェブサイトのIAP部門で「forthcoming(近日公開)」と記載されている。IAPサービスの画像は、提供機関それぞれによって決められた諸条件に従って、出版物に無料で利用することができる*8。

最後に、画像を必要とする美術書の出版者は、出版物のための画像の入手に伴う費用とそれらの画像を入手するのにかかる時間の両方に懸念----ここ数年にわたって和らぐことのなかった懸念----を表明し続けている*9。シカゴ大学出版局の編集責任者であるSusan Bielsteinとイェール大学出版局の芸術と建築部門の出版者であるPatricia Fidlerの最近の議論が示唆するところによると、画像を広くアクセス可能にする博物館や使用許諾料を下げる博物館が出てきたことで権利状況は改善されているが、課題はまだ残っている。Fidlerは、博物館は画像の権利に関する方針について学術出版者と意見を交換するべきだと論評した;彼女はオープンアクセスの画像の利用可能性は依然として不十分であり、画像の入手はプロジェクトによっては費用が高くて手が出せないものになっていると付け加えた。Bielsteinは、より大衆的な出版物から学術出版物を「切り離す」ことについて懸念を表明し、あらゆる目的に対して画像へのさらに広いオープンアクセスを促進することは博物館の領域を益することしかないだろうと述べた*10。

現在の議論における他の話題は、博物館がデジタル画像に著作権を要求するか否か*11や博物館の画像とその解説の使用に統制を及ぼすかどうか、収益を生み出し費用を回収することができるかどうかに関連する。この調査の対象となった博物館のいくつかにとって、画像の使用許諾から得られる収益は重要なものである。

所蔵作品の画像へのオープンアクセスを実行したそれらの博物館はごく最近になってそれを実施しており、推奨される方針と実現方法の基礎を作るには、まだそれほど多くの経験がない。博物館コミュニティの中では、多くの機関がオープンアクセスについて話し、関連する問題を理解し、オープンアクセス・アプローチを取った博物館の経験から学ぶことに関心をもっている。所蔵作品の画像へのオープンアクセスを実行したいが、そうするには技術的および財政的、人的資源が不足している博物館もあれば、他館の経験から学ぶためにより多くの博物館がオープンアクセスを採り入れるまで待っている博物館もある。

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脚注

*1 この定義はhttp://www.yourdictionary.com/public-domainで引用されている。

*2 IMLSは2011年、「大規模」な美術館を、営業予算が290万ドルを超えるものだと定義した。http://www.imls.gov/assets/1/AssetManager/MFAEval_Report.pdfを参照。

*3 ロサンゼルス・カウンティ美術館の技術とメディア部門副部長であるAmy Heibelが、著者とのインタビューでこの見解を示した。

*4 スミソニアン博物館が、この研究で取り上げられた3つ目の組織である。

*5 コロンビア大学のKenneth Crewsとミネアポリス美術館のDan Dennehy、イェール大学アートギャラリーのJohn ffrench、ミネソタ歴史協会プレス(Minnesota Historical Society Press)のPamela McClanahan、ミネソタ大学図書館のNancy Simsが「Copyrights」セッションに参加した。インディアナポリス美術館のAnne YoungとJ・ポール・ゲティ美術館のCherie Chen、Sixth Floor Museum at Dealey PlazaのMegan Bryant、それからARTstorのChristine Kuanが「Got Images」セッションに参加した。「Got Images」セッションで、発表者の一人はおおよそ80人の出席者による非公式の投票を実施した。教育的な目的と教室での授業目的に対して画像へのフリーでオープンなアクセスを許可している機関の数を尋ねると、出席者の100パーセントが手を上げた。学問的および学術出版目的に対するフリーでオープンなアクセスについて尋ねると、約50パーセントが手を上げた。最後に、営利利用と学術的利用の間の線を消すことについて尋ねると、参加者の約3人だけが手を上げた。非科学的ではあるが、この投票が全般的に示したのは、教室授業と非営利の教育的目的における博物館の画像のオープンでフリーな利用に対しての反対はほとんどないが、学術出版での作品の画像の使用について博物館は依然として疑問をもっており、まして営利利用に対するオープンアクセスについてはなおさらそうだということである。

*6 http://www.artstor.org/what-is-artstor/w-html/artstor-overview.shtml

*7 http://www.artstor.org/what-is-artstor/w-html/artstor-overview.shtml。ARTstorの画像の利用に関する諸条件はhttp://www.artstor.org/our-organization/o-html/permitted-uses.shtmlで見られる。

*8 ARTstorのIAPサービスに参加する「forthcoming(近日公開)」リストに記載された機関のリストはhttp://www.artstor.org/what-is-artstor/w-html/services-publishing.shtmlで見られる。

*9 この話題に関して度々引き合いに出される論説が三つある:Nicoll(2005)は美術書の歴史とその生き残りへの現在の脅威について詳述しており、「文明の最も偉大な功績の貯蔵庫であり、公的資金と民間の社会貢献活動によって快く適切に支援されるものから、本質的に営利の商取引を行う「企業」に近いものへと変化する、博物館という概念」とある;Lyon(2006)では一頁全体が「permissions purgatory(許可煉獄)」に充てられている;False(2006)の論説で、彼は博物館に対して、所蔵作品の画像を食い物にしており、画像の複製許可に高額の料金を課していると非難している。

*10 出版社と編集者の見地を説明する必読の論説はBielstein(2005)である。

*11 米国の多くの博物館は、もはやパブリック・ドメインの二次元の所蔵作品のデジタル表現に著作権を主張していないが、例外がある。この調査で対象とした英国の博物館はどちらもこれらのデジタル画像に著作権を主張している。この違いは主に、ニューヨーク南部連邦地方裁判所におけるブリッジマン対コーレル・コーポレーション訴訟の1998年裁定によるものであり、その訴訟では二次元作品の複製メディアと「十分な創作性」を有しないものは著作権の保護を受けないと判決した。http://www.law.cornell.edu/copyright/cases/36_FSupp2d_191.htmを参照。

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【4分割して訳した1つ目。前置き部分。
原文はこちらから入手できます:http://www.clir.org/pubs/reports/pub157
もしくは、こちら:http://www.clir.org/pubs/reports/pub157/pub157.pdf

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更新日:2013-08-01 09:13:27 shikimi 6  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
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