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米軍:野蛮の思考回路 / ダール・ジャマイル

2010年2月10日 トゥルースアウト

ステパン・メストロビック博士へのインタビュー

2009年12月27日、アフガニスタンの東部クナル州で、深夜に襲撃捜査を仕掛けた米軍は、学齢期の子ども8人を含む10人のアフガニスタン人をベッドから引きずり出して射殺した。8人の子どもたちは11歳から18歳だったとアフガニスタン政府の調査団は語っている。

この事件は、米軍兵士がイラクとアフガニスタンを占領中に犯した数限りない残虐行為の一つにすぎない。イラクのアブグレイブで米軍兵士は捕虜に拷問を加え、米軍の暴力でイラク人市民は苦しみ、バグダードでは米軍兵士が学童を拘束し・・・・・・残虐行為のリストは際限なく続く。

ステパン・メストロビック博士はテキサスA&M大学の社会学教授で、イラクにおける米軍の違法行為に関する本を三冊上梓している:『アブグレイブ裁判:恥と名誉をめぐる専門家証人の報告』、『交戦規定? イラク鉄の三角形作戦』、『「善良なる兵士」の裁判:イラク鉄の三角形作戦における米軍の不法行為をめぐる社会学的研究』である。彼はハーバード大学で取得した臨床心理学修士号を含め三つの学位を持っており、イラクで戦争犯罪を犯したとして告発された米軍兵士にかかわる第32条審問[軍事裁判審問]、軍法会議、減刑審問などのいくつかの審問で心理学および社会学の専門家証人を務めてきた。アブグレイブ・スキャンダルに関与した看守の裁判にも専門家証人として出廷した。

メストロビック博士はこれらの本で、米軍が組織として機能不全に陥っていること、軍階層の頂点にいる将校や政治家たちが不法な交戦規定を発布しながら、その規定と命令に従って任務を遂行した下位の兵士だけが処罰されていることを、入念に記録している。例えば、メストロビック博士が専門家証人として出席した聴聞会の一つで、米軍兵士たちは、自宅から出てきた武器をもたない75歳の老人を射殺したことを率直に認めたが、「兵役年齢男子」はすべて撃つという規則に従っていたという理由で、兵士たちも将校連も、罪を問われなかった。

「トゥルースアウト」では、メストロビック博士に2部構成のインタビューを行なった。

トゥルースアウト:米軍の中でどんな状況が起きたために、残虐行為を起こす思考が育まれることになったのでしょうか? 武器を持たない75歳の年老いたイラク人を殺害するといった残虐行為を兵士たちが犯すのはどうしてでしょうか?

メストロビック博士:この思考回路は米国の歴史に根ざすもので、それに特徴的なものと言えるかもしれません。たとえて言えば、YouTubeのビデオ「スタートレッキング・アクロス・ザ・ユニバース」の一節でその特徴を述べることができるかもしれません。そこで登場人物キャプテン・カークが「我々は平和を求めてきた、射殺しに来たんだ」。古典となった『アメリカの民主主義』の中でアレクシス・ド・トクヴィルは、アメリカ人の「心理的習性」に見られるこの矛盾を、ネイティブ・アメリカンや奴隷をはじめとする「他者」と見なされた人々との関係をめぐって私的しています。スペイン人や英国人、フランス人の征服者たちと違うのは、アメリカ人がわざわざ法律を採択し協定を結んでまで他の人々に対する自分たちの虐待高位を正当化していると、トクヴィルが指摘しています。ですから、例えば、奴隷制は不道徳なものと見なされていたとしても、合法的だったのです。同様に、インディアンの殲滅は不道徳でしたが、米国政府はまず協定を結び、それからそれを破ったのです。「魔女たち」を処刑するときも、まず、裁判にかけ、そのときには弁護士をつけました。そうした振舞いは他にもあげることができます。どうも、トクヴィルがアメリカの文化に関する重要なこととして指摘した点は、今日まで続いているのです。

時代を進めて第二次世界大戦に行きましょう。米国は、もし負けていたら歴史家や法律家が戦争犯罪と呼んでいた可能性があるような多くの行為を犯してきました。ドイツや日本の諸都市に対する空襲もそうですし、もちろん、広島と長崎への原爆投下もそうです。さらにベトナム戦争に目を向けると、そこで米国は「自由砲撃」地帯で「捜査破壊」戦略を確立しました。重要な点は、こうした行為を正当化するために、ありとあらゆる法律用語を持ち出したのです。曰く、「立場に基づく」標的(どうやらこれは、その標的は単に存在しているというだけで「敵」と見なされ、それゆえ潜在的な脅威となる、という意味のようです)云々。

現在進められている「対テロ戦争」においても、残虐行為と見なされるべき行為をこれと同様、合法化しようという態度は続いています。例えば、ジョン・ヨーをはじめとする米国政府の法律顧問が懸命に拷問に合法的装いを凝らそうとしたことは誰もが知っています。これについても他の点においても、米国政府はトクヴィルが述べたように振舞っているのです。

くだんの事件について言うと、米軍が武器を持たないイラク人を殺すのは合法だと見なしていることに疑いの余地はありません。その作戦における交線規程(ROE)は、目につく兵役年齢のイラク人男性は皆殺しにするというもので、米軍兵士たちは実際、そうしたのです。犠牲者は米国の軍事法において「立場に基づく」「敵性」標的として最初から決まっていたのです。この男性は武器を持っていなかったし、敵対的意図を持っているという徴候もまったくなかったのですから、男性を殺したのは殺人行為だと考える人もいるかもしれません。けれども今お話ししているような心性にとって、それはまったく問題ではないのです。実際、私が話をした軍法律顧問も文民弁護士も全員例外なく、もし兵士がその日ROEに従って行動しそれに基づいて目についたイラク人男性を殺したのならば、兵士たちにはどんな非難も向けることはできないと述べていました。ここでお話ししている心性から言えば、兵士たちの「過ち」は慈悲を見せてまずイラク人を捕虜にし、それから殺した場合です。彼らの観点からは、捕虜を殺すのは元々のROEをに従ったまでのことなのです。実際、兵士達は相手を捕虜にしてはいけないと命じられていました。けれども、アメリカの文化的心性に基づく法的立場からは、捕虜の扱いと殺害についても法的規則があり、それは「立場に基づく」すなわちあらかじめ決まっている標的を殺すこととは異なる行為なのです。

これ以上、アメリカの法律談義に見られる矛盾に入っていくと少し脇道にそれすぎてしまいます。より重要な点は、出来事を記述するために使うべき用語について、法学者と法廷の弁護士が合意できないことです。まるで、この出来事を言葉で語ることができないかのようです。法的な泥沼のいくつかについてだけお話ししましょう。例えば、技術的かつ法的に言って、イラク人男性は「捕虜」や「戦争捕虜」(ジュネーブ条約のもとで権利を有しています)ではなく、「拘留者」とされます。もちろん「拘留者」の扱いについても規則はありますが、それは「戦争捕虜」に関する規則とは異なるのです。「拘留者」の法的立場について確実にわかっている人は誰一人いません。

つまり、重要なポイントは、こうした残虐行為を引き起こす心性において、犠牲者は最初から合法的な標的と定められているのです。むろんこの心性は法的にも文化的にも道徳的にも多くの問題を提起するもので、問題を閉ざすものではありません。

トゥルースアウト:御研究の中で、米軍という組織を「機能不全」と述べた理由を説明してもらえますか?

メストロビック博士:まず、1949年にサミュエル・スタウファーが古典的な「米軍兵士」の中で述べたことが、今でも妥当します。スタウファーは、米軍は他のあらゆる軍隊と同様、時代遅れの権威主義的な構造を持っている一方で、兵士たちは民主的な社会から参加していると述べています。民主主義と権威主義はうまく混ざらないので機能不全を引き起こします。スタウファーは将校たちがまるで王のような待遇を受ける一方で兵卒はまともなアメリカ人未満の存在として扱われます。

私は調査の中で、スタウファーが明かにしたこの基本的な矛盾がもたらす驚くような機能不全の例にたくさん出会いました。例えば、アブグレイブの米軍兵士たちが(拘留者と同じように)独房の中で寝ており、ポータブルトイレさえ使えないことを知って衝撃を受けました。誰もが皆、基本的なニーズを平等に手にすることは、民主的精神の一要素です。アブグレイブ裁判である士官が行なった証言の中で衝撃だったのは、兵士たちにはまともな食事が十分与えられず、水も、灯りも、睡眠も不十分だったことです。スタウファーの視点で言えば、こうした事態はまさしく中世的なものです。つまり「有閑階級」(将校たち)は自分たちのニーズと関心はまかないますが、下級兵士の関心には目を向けないのです。アブグレイブでは「拘留者」の虐待を写した写真が大きな注目を浴びましたが、米軍が作戦の中で自軍の兵士を虐待していたことについてはほとんど誰も注目しなかったのです。

実際、多くの戦争犯罪訴訟で体系的な機能不全に出くわしてきました。睡眠は、食事や水と同様、必須のものと考えるべきです。慢性的な睡眠不足により兵士たちは道徳的判断についても含め、判断ミスをしがちです。けれども兵士たちは、一日4時間未満の睡眠が日常的だと私に話しています。PTSDも問題です。兵士たちがPTSDと診断されながら治療を受けることなく戦闘任務に送り出される例を数多く知っています。司令官や将校は、どうして兵士たちの人間としての基本的なニーズを考慮しないのでしょうか? その答えの一つは、真に民主的な社会では、個々人は抗議し、睡眠やPTSD治療を含む基本的なニーズを満たす権利を求めることにあります。けれども、軍は権威主義的な社会なので、どうやら兵士たちは命令に服従する以外にとるべき道はないのです。こうしたことを一つの理由に、私は、軍を機能不全と結論したのです。

トゥルースアウト:いくつか例をあげていただけますか?

メストロビック博士:戦闘に参加する米軍兵士について、スタウファーの観察と関わっていくつか例をあげてきましたが、軍法に関する例をいくつかあげてみましょう。一般に、米軍兵士は軍に入隊する際、多くの、憲法で保証されている権利を放棄します。軍法会議体制は、軍の他の構造と同じく古くさい権威主義的なものです。軍判事や軍検察官は、被告と対等ではなく、軍の階級上、被告の上官になります。この事実だけで、軍における法的手続きのダイナミズムに色が着きます。

こんな風に言うこともできます。KSM(カリード・シェイク・モハメド)のようなテロ容疑者は米国の文民法廷で裁かれますから、軍の軍法会議制度で告発された兵士よりも憲法上保証された権利を多く有していることになりますが、これは大きな皮肉です。また、いくつかの法律事務所が、公益弁護活動として、テロリストの容疑をかけられてグアンタナモに拘束されている人々の弁護を買って出ていますが、これは憲法上の権利を擁護するためです。けれども、私が知る限りでは、米軍兵士の憲法上の権利を擁護するために弁護を買って出た法律事務所は一つもありません。アメリカ社会の民主的な制度と米軍の権威主義的な構造の巨大なギャップについて考える人はほとんどいません。お終いに、スタウファーがインタビューした兵士の言葉を引用しましょう。「もう一度アメリカ人のように扱って欲しいだけなんだ」。スタウファーの観察は今も妥当すると思います。

 

 
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更新日:2010-02-15 20:58:06 kmasuoka 0  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
[ 原文 ] http://dahrjamailiraq.com/the-us-military-a-mindset-of-barbarism 著者から翻訳公開許諾取得
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