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Linuxでの録音・楽曲制作に向けた環境づくり  |  from Libre Music Production

  ちょっとコンピュータ関係をかじっているような読者の方なら、GNU/Linuxがパワフルで、とりわけ、アートやビデオ、ビジネス、ゲームなどの方面にはまだまだ成長の可能性があるということには見当が付くだろう。

 だが、現段階では、バグや思わぬ障壁などで、思った通りの仕事がなかなかできないことがある。その場合やはり、市販のOSのほうが簡単というのが実情だ。
 

  この記事では、今年のSCaLE 14xで私が講演した内容をもとに、音楽制作にむけた基本的なLinuxの設定方法を紹介していく。
 とくに、

 どこの設定で機械の性能を上げているかということと、
 さらにLinuxを使いこなすために何に注目するか

                      をテーマに説明していこう。       
 

  

  機材の問題

  まず、オーディオは、ヘッドフォンやスピーカーを使わざるを得ない。
 そして、コンピュータで音を出すには必ずやインプットというものが存在する。

 かつて、Linuxのインプットといえば、OSS(Open Sound System)や、FFADOを使ったFirewireが主流だったが、現在は、ALSA(Advanced Linux Sound Architecture)がスタンダードである。今回はそれに焦点を当てていこう。


  ALSAはLinuxカーネルの一部である。そのため、ユーザーとしてはALSAについて深く知る必要はない。せいぜいが、自分の手持ちのハードウェアで動くかどうかであって、あまり心配はいらない。

 ただし、いざマイクを使って楽器などの物理的な音を収録するとなると、オーディオインターフェイスという機材が必要だ。

 オーディオインターフェイスは「動作するための当たり前の機能はありますよ」ということを示している、「等級保証」つきの製品を使った方が、ALSAの接続もより確実である。だが、これはよほど低品質なものを使わなければだいだい保証されているものなので、さほど心配はいらない。

 だけど、それなりの音質を求めるのなら、僕はFocusrite Scarlettシリーズをおすすめする。これはアップデートがボランティアによって行われていて、活動も活発だから情報の遅れや不備が少ない。インターネットフォーラムもあって、わからないことがあっても解決策が見つかりやすい。
 



 カーネルのセットアップ


  楽曲制作には、なるべくレイテンシは低くなることが望ましい。そのための、適切なカーネル設定は有効ではある。

 だが、わざわざ自分でカーネルをいじるよりは、音楽制作に特化したシステムを導入することがおすすめだ。



 ディストロとレポジトリ


  音楽に特化したシステムなら、あらかじめカーネル設定が行われている。ただLinuxであるからには、主に使えるソフトは当然GNU/Linux対応のソフトであるため、いろいろ細かい設定に時間がかかってしまう。

 最初はちょいめんどかったけど、その良さは使っているうちにわかった。


  なかでも、僕がそれを実感したのはKXStudioだった。
 素晴らしいレポジトリで、デビアン系のシステムならとても簡単にインストールできる。第一、僕がそうだったんだから。

(Ubuntuなどもデビアン系なので、使えるユーザーは多いはずだ。すでにLinuxマシンを持っている人はぜひ入れてみてね。)

 ひとたびインストールすれば、たくさんの機能的なプログラムや、マネジメントツール、エフェクト類、プラグイン、シンセサイザーが簡単に手に入る。アップデートも簡単。入れたソフトは低レイテンシカーネルで実行できる。メンテナンス画面はGUIで、とても使いやすい。

 さっきも書いたようにLinuxにはバグがある。それでも、修正さえ入りやすければ、その欠点を補っていける。Linuxを使うのなら、アップデートのしやすさは大切なポイントといえる。

 だけど、皆さんに覚えておいてもらいたいことがある。
 KXStudioはそのメンテナンスやアップデートなどの維持管理も全て、有志のボランティアによってフルタイムで行われている。

 じつは運営のための寄付金が必要だ。ソフトが気に入ったり、それを使ってさらなる収入を得られたりした人は、組織にちょっとした寄付をしてほしい。

 
写真)筆者がカスタマイズしたKXStudioデスクトップ
 


  さらに、ほかの音楽制作用ディストロを紹介しよう。
 AVLinuxFedora Jamだ。システムそのものは何年も前に作られたものだとしても、アップデートはいまだアクティブだったりするので、使うのに大きな支障はない。


  音楽ディストロの中でも、完全にフリーソフトウェアなのは、MusixDynebolicで、これらはフリーソフトウェア財団に署名がある。

 また、最近それらと同じようなディストロがアップデートした。名前をTrisquelという。デビアン系のシステムで、KXStudioレポジトリが導入されている。もちろん、これも財団に署名している。



 JACK


  ALSAはハードウェアや、たくさんのプログラムから発せられた音をとりまとめる。

 だけど、KDE's Phonon (GStreamerやVLCバックエンドで動いている)のように、PulseAudioを通じで音を発するプログラムもある。

 ところが困った。それぞれの音を処理するALSAとPulseAudioでは動きの方法がいろいろ異なって、そのままでは一緒に使えない。
 

  そこでJACKが登場する。JACKはなんと、あらゆるオーディオをつなげてしまう。MIDIやシンセサイザーもお構いなし、あらゆるプログラムをサポートしている。

 だから、例えば、シンセサイザーの音ををリバーブがけしながら録音して、その横ではドラムプログラムが動作しているという環境が構築可能だ。

 さらに、設定さえ行えば、スタート・ストップを同期させる機能があり、マスター・タイムキーパーの役割も果たす。

  JACKはたくさんのプログラムを1つにまとめる機能を担う。そしてそれには、専用のマネジメントツールが必要なのだ。

 KXStudioをインストールしたのなら、Cadenceを使おう。これは比較的有名なツールで、KXStudioは使っていなくても、Cadenceだけはという人もいるくらいだ。

 そのJACKを最も有効活用しているソフトといえば、Non seriesの作者であるJon Lilesが作ったツール群だと思う。彼はミキサー、レコーダー、シーケンサー、そしてセッションマネージャーをなんと独立させた。

 そして、それぞれの接続・連携はJACKで行う。

 セッションマネージャーは全ての設定とJACKで作成したコネクションを記録するためのツールだ。これのおかげで、プログラムを再起動しても以前と同じ設定が反映されて、いろいろと手間が省ける。


 (写真)CadanceでJACKの接続を設定している

  しかし、現時点のJACKには欠点がある。それは、開発側が接続をすることなどの機能性に特化しがちで、サポートや機能の質を必ずしも大事にしているわけではないことだ。

 実際、相性のよい機材やソフトウェア同士はそれはそれはスムーズに動作するのだが、うまく行かなかいソフトがあったとしても、サポート体制が整っておらず、改善されないことがある。

 ソフトウェアがきちんとJACKに対応しているのならともかく、そうでもないとユーザー側は「果たしてこれはJACKで使えるのか」という点にひやひやするのだ。

  それも加味したうえで、ユーザーはLinuxでの音楽制作にJACKを取り入れたほうが良い。やはり、うまくいく時の効率の良さはすさまじい。

  (JACKに対応したお役立ちソフトウェアについては、次回の記事で紹介しよう。)



 コミュニティ・サポート


  Linuxにも音楽系のフォーラムがある。初心者や
何かも迷ったことがあったらこういうところが参考になるかもしれない。

 まずLinux Musicians Forum
 それからこれはネットチャットだけど、#opensourcemusicians IRC channel on Freenode.netというところもできることならチェックしてほしい。たくさんのプロジェクトが自分のチャンネルを持っている。
 Linux Audio Wiki
も良い記事があるサイトではあるが、たまに古すぎる情報があるので注意が必要だ。
 


  あと、システムの設定がトラブルの解決法だったということもよくある。

 たとえば、ノートパソコンでシンセサイザーを生で弾いて音を出すために、レイテンシ低めの設定を使いこなそうと思ったら、僕ならまず、ネットを切断して、CPUガバナンスをPerformanceモードに設定する。

 そして、この手の解決策を記した記事は探せばいっぱいある(僕もたまには書いている)。

 けど、音楽のように大量の機械やシステムを使う状況で、どれが本当によい選択かなんて、はっきりとしたことは言えないだろうな。とくにLinuxの世界は、まだまだ研究中なこともたくさんある。

 なので僕はみなさんに、なるべく相談しやすくて、役に立つコミュニティに所属することをおすすめする。
 
 だけど、忘れないで。そこで出た質問や答えは、なるべくwikiなどに挙げること。

 Linuxコミュニティは、あくまでテーマが決まった研究チーム。
 だからこそ、その質疑応答じたいは一見すごく個人的なことに思えても、無駄になることはない。

 報告と共有を怠らなかった結果が、案外有用な記事になって、たくさんの人たちの糧になっていく。

 

 筆者:Aaron Wolf       (翻訳:フノス)    
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更新日:2017-03-02 22:17:26 Hnoss 0  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
[ 原文 ] http://libremusicproduction.com/articles/configuring-linux-music-recording-and-production Creative Commons License この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
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