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キューバと米国の国交正常化交渉 / イマニュエル・ウォーラーステイン

2015年1月4日

2014年12月17日、バラク・オバマ米大統領とキューバ国家評議会議長ラウル・カストロは、国交正常化交渉を開始することを同時に発表した。1961年1月、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領政権時に米国はキューバとの国交を断絶していた。今回相互が達した決定は、18ヶ月間におよぶ水面下の交渉の成果であり、極めて秘密裏に進められたため、まさに電撃発表であった。

教皇フランシスコが積極的にこの外交修復に働きかけていたことが、ほどなく知れ渡った。両国の特使がバチカンで会談し、教皇フランシスコはキューバ人のハバナ大司教カルディナル・ハイメ・オルテガとともに交渉の調停に重要な役割を果たした。こうしたバチカンの支援に対し大統領と議長は率直に謝意を表した。この会談の直後、両首脳の45分間の電話会議が実現したのである。

 

あまり知られていないが、カナダ首相スティーヴン・ハーパーも重要な役割を担った。彼はカナダで 最初の会談をお膳立てし、対話の「円滑化」を図ったのである。その役割に対して大統領と議長から謝意と称賛を受けている。同首相の関与が重要だったのは、キューバとの外交関係を持続していたこと以外に、ハーパーの政治姿勢が米共和党主流派の議員と類似していた点にもあった。

米国内では様々な反応が混在した。予想通り、国交正常化の合意には共和党有力議員からの反発があったが、その中で注目すべき例外はジェフ・フレイク上院議員(アリゾナ州)とランド・ポール上院議員であった。一方、カトリック教会や公式声明を出した米商工会議所、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、大手穀物農産物企業からは強い支持を受けた。世論調査や若手層のキューバ系アメリカ人の大多数から見えたのは歓迎ムードであった。キューバ系アメリカ人にとって主要な情報源である『マイアミ・ヘラルド紙』はこの件を大きく取りあげ、慎重かつ反感色のない報道姿勢であった。同紙はこの合意を「イチかバチかの勝負」と呼び、合意の決定は勇気ある行動で新しい時代の始まりではあるものの、確実な成果はまだ未知数としており、この「博打」が成功することを望むとしている。

米国外での反応は大いに肯定的だ。ラテンアメリカでは一貫して歓呼で迎えられた。明らかな賛辞を送ったのは、「南米諸国連合(UNASUR)」事務局長エルネスト・サンペール、「米州機構(OAS)」事務総長ホセ・ミゲル・インスルサ、そして保守系右派のパナマ大統領フアン・カルロス・バレラであった。パナマは4月の第7回米州首脳会議の開催国であり、地域統合の「夢」を実現するものとしてオバマ、カストロ両首脳のパナマ訪問を期待している。米国とキューバの国交正常化は欧州、アジア、そしてアフリカにいたる各地でも賛同された。

50年以上も終始むき出しの敵意を示してきた2国間でこの重大な合意が実現した場合、双方にとって何らかの有意義な利点がなければならない。オバマの論拠は「キューバ孤立政策はこの50年うまくいかなかった」というものである。米国はキューバに自由を求めるコミットメントを主張し続けており、「問題は今後どのように米国はそのコミットメントを継続するかである。50年以上同じことを継続して異なった結果を期待するのは不可能であろう。」と語った。

カストロが声明のなかで強調していることは多少異なる。「両国にとって互いに利益となる事柄の解決に私たちは前進できた・・・両国の対話がもたらした進歩は、多くの問題を解決することが可能であることを証明した。」しかし問題の核心は「廃止すべき」経済制裁である。とはいえ「オバマ大統領の決定は私たちキューバ人の敬意と謝意を受けるにふさわしいものである。」と述べている。

それでは何が決まったのであろうか。双方が得た結果は何だったのか。受刑者の交換があった。囚人にとっては朗報であるが、そのこと自体は、憎悪に満ちた敵同士の間でも、異例のことというわけではない。オバマは、経済制裁を完全に廃止しないまま、送金や銀行取引、旅行を緩和しようとしている。制裁がほとんど意味をなさないくらいオバマはそれらを緩和しているという意見もある。カストロはインターネットへのアクセスをこれまで以上に認めるだろうし、キューバの政治犯53名も釈放した。オバマはジョン・ケリー国務長官へテロ支援国家のリストからキューバをはずす手続きを開始するように指示した。スペイン語で「我われは米州大陸の同士」と述べて、米州首脳会議にてカストロと同席することへの期待を表明している。

最終的には、両国とも国内の論争を抱えている。強行派は反対派を論破できるのか? 両国間の国交回復は相手国の姿勢を柔軟にするのか? これは両陣営の論争であり、過去に、いわゆる米・ソのデタント、リチャード・ニクソンと毛沢東の北京会談、ベトナムと米国の国交正常化交渉があった。論破も柔軟化も実際には起きなかったことを歴史は示している。

ブラジルの左派系学者のエミル・サデルの視点からみれば、キューバの勝利である。キューバは、これまで米国で優勢であった冷戦の論理を葬り去った。当初、キューバは米国によって孤立に追い込まれた。しかし50年後、両国の状況は一転した。孤立しているのは米国になった。対等なもの同士の敬意に基づく外交関係が達成された。ラテンアメリカの左派は経済封鎖を継続する政権は米国市民の支持を失うとみている。また米国がベネズエラを経済封鎖することがより難しくなるとも考えている。このような状況変化によって、キューバが和平交渉を担っているコロンビア政府と反政府武装集団FARC(コロンビア革命軍)との合意が加速するというのが一致した見方だ。

私の見解では、オバマの今回の行動は彼の任期中でただ一つの最も積極的な外交的決着であったと思う。他に見るべき履歴は無いも同然である。これは魔法ではなく雰囲気を変化させるものである。もし共和党議員が妥協を拒み続ければ、ますますオバマの背中を押すことにほかならない。すでにAP通信とのインタビューでオバマは、もっと厳しいと思うがイランとの同様の政策がありえないわけではないと述べた。

『ラ・ホルナダ紙』にマルコス・ロイトマン・ローゼンマンは「キューバ:威厳の勝利」 とのタイトルで賞賛の記事を寄せている。オバマには教訓になるであろう。長期的に他国との取引に成功するには、弱者だけでなく強者の尊厳も必要だということだ。オバマやジョン・ケリー国務長官、そして有力な民主党大統領候補で前国務長官のヒラリー・クリントンが、米国を高潔な「リーダー」であるとか、世界にとって「たちの悪い国」を追い詰めているなどと軽々しくしゃべり続けるのではなく、いつかこのことを認識するようなときが来ればよいと思っているのだが。

 
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更新日:2015-02-11 14:59:37 ozawa 0  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
[ 原文 ] https://zcomm.org/znetarticle/cuba-and-the-united-states-resume-relations/ サイトが基本的に翻訳推奨
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