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気候変動への冷静な見解 / イアン・シンクレア

法律: 社会 気候変動

2013年12月15日

急激な気候変動をくい止めるには一般の人びとや国はどのように対処すべきか、また、そうしなければどのような結末を迎えるのかについて、英国で屈指の気候変動の専門家4人にイアン・シンクレアが尋ねた。

国際的な交渉の場では、産業革命以前に比べて2℃ほど世界の気温が上昇すると、危険な気候変動を誘発するということが広く受け入れられていますが、何度を上昇すると危険な気候変動が生じると考えていますか?

コリンヌ・ルケレ: 2℃が限界値で、それを超えてはいけないと私は思います。少なくとも過去200万年の間に地球で起きたと推測できる最大の値です。2℃の上昇でも人間が十分に生きて行けることを私たちは知っていますが、2℃上昇した気候に適応するためには様々な調整が必要になるでしょう。特に食糧の生産や水の安全確保がそうです。2℃を超えるとリスクはとても高くなり、温暖化そのものよりも、地球の自然がもつフィードバック機構が気候を非常に不安定にし、対応するには技術的な困難が伴いコストも高額になり、対応が不可能になることさえありえます。そのことは特に世界で最も貧困な地域で顕著になります。

ロバート・ワトソン: もうすでに世界のいたるところで地球温暖化の悪影響を受けながら私たちは生活しています。それも生物学、物理学の両面にある変化です。従って、理想的な世界ではできる限り現状の気候を保とうとするでしょう。気候変動の規模や割合が増加すると、最も影響を被る貧困層や貧困国にとっては致命的です。低地に住む人びとにとって海面上昇は特に脅威であり、食糧や水の安全保障が脅威にさらされる人びと、重要な生態系サービスの減少、健康被害の増加にさらされる人びともいます。

個体群やセクターによって影響の受け方は異なるので、私は「危険」という言葉は選びませんが、産業革命前に比べて1.5℃気温が上昇すると、より多くの人びとや自然の生態系が影響を被るでしょう。世界の平均気温の変化を産業革命以前と比べて2℃以下に制限しようとの政治目標は、世界の温室効果ガスを即座に大幅に地球全体で削減しなければ実現しないでしょう。  

サイモン・ルイス: 地球の気温上昇について安全な平均値を客観的に述べるのは不可能です。気候変動に関連した影響はすでに危険なレベルにあり、人びとを生命の危険にさらしさえしています。私たちの耳にほとんど届くことのない犠牲者たちは、圧倒的に年少者や高齢者、貧困層の人びとです。とりわけ被害にさらされる人びとや国、種、生態系があると認識することが重要です。被害を受けやすい国のなかには、国際的交渉の場で限界値1.5℃を提唱する国があります。勿論、化石燃料の利用について、どのような結果やリスクが犠牲の許容範囲なのかを決めるのは、科学ではなく政治の領域です。2007年から2008年にかけて3大陸に広がった食糧抗議、アラブの春の要因と一般に考えられている食糧価格高騰の影響とともに、農産物生産におよぶ持続的な温暖化の悪影響を考えてみただけでも、2℃の気温上昇は、環境の面で世界を変えるだけではなく、社会的にも騒乱を引き起こすものと私は考えます。

ケビン・アンダーソン: 許容できる気候変動と危険な気候変動との間の適切な閾値(しきいち)を定めるのは気候科学者の役割ではありません。繰り返し率直な対話を行うことによって、また政治や国際交渉において避けることのできない面倒な手順によって市民社会が決定することが適正なのです。科学は議論を啓発しますが、直接関与する人以上に明確な回答を出す立場ではありません。

しかし、いったん市民社会が「危険」の閾値を定義すれば、炭素収支や排出量削減などの観点から閾値が意味することを調査研究するのは科学者の役割です。一市民として、当然ながら私は、「危険な気候変動」がどのようなものからなるかについて意見を持っています。私たちは2℃以下を目指すべきと判断しています。それは私たちがすでに大気圏に放出した温暖化ガスによって結局、制限されるため、おそらく約1.5℃になるでしょう。

適切な閾値を選択する際、私は、炭素収支、低減率などの専門的知識を基に決めます。その知識は道徳の観点から世界を解釈し、危険性と不確定要素に対する私個人の方法を組み合わせたものです。この問題を真剣に考慮する他の人たちの閾値と同様に、私の判断を元にした閾値も正確とはいえません。

世界が2℃以下の温暖化を維持できる可能性はどのくらいと思いますか?

コリンヌ・ルケレ: 現在、地球は約0.8℃上昇しています。そのため私たちは温暖化を2℃に留めることができると思いますが、今すぐ行動しなければなりません。それも徹底した行動が必要ですから、化石燃料を燃やすことに依存する成長や富の蓄積、発展が続くことはありません。2℃の温暖化に留めるためには、排出のピークを2020年以内にする必要があると社会・経済モデルは告げています。
 

ロバート・ワトソン: 近年、世界各地で景気後退がみられ、温室効果ガスを削減するとの政府公約があるにもかかわらず、地球全体の二酸化炭素の排出量は高まるばかりで、公表されている2℃の目標達成すら可能性はないに等しいのです。排出削減に関する現在の世界の公約では、少なくとも3℃の気温上昇に対応しています。これは、約300万年近くの間、地球にはなかった上昇温度であり、5℃の上昇だと、3000万年もの間、地球にはなかった数値で、重大なリスクがあるとされています。

サイモン・ルイス: 長期間集計しているのは温室効果ガスの累積排出量です。しかし、本格的な削減努力を怠ると排出は上昇する一方です。化石炭素の大半を大気圏に持ち込まない方法についての議論はほとんどされていません。富裕者たちは数十億ドル相当の埋蔵化石炭素の存在を発見すると、その資源を採掘します。カナダのオイルサンド、米国や英国の水圧破砕によるシェールガス・シェールオイルがそうです。

2℃以下に留める可能性はほとんどありません。最近めずらしい楽観的なニュースとしては、2000年代は地表の気温はかなりゆっくりと上昇するというものがあります。2℃の上昇に達するまでには、多数の科学者によるこれまでの想定よりさらに10年余計にかかるというものです。

ケビン・アンダーソン: 気候感度に関してよほどの幸運がない限り、2℃の閾値を越えないという可能性は極めて低いのです。しかし、私たちが努力しなければ、可能性は僅かからゼロへと滑り落ちていきます。世界の富裕層に対しては、国際エネルギー機関が出した結論の幅広い主旨に私は賛成します。2℃の閾値に真面目に取り組むためのゼロカーボン・エネルギー・システムへの根本的移行を徹底するには約5年かかります。「エネルギー」と「システム」です。すなわち、電力だけの問題ではありません。エネルギー供給と同様に、エネルギー需要の問題でもあります。

もし気候変動を考慮した適切な行動が行われなければ、地球の気温、環境、社会・経済への影響の点から、50年後または100年後にはどのような世界になっているでしょうか?

ロバート・ワトソン: 現在以上の排出比率だと、地球の平均気温を3℃以上上昇させる可能性があり、気候システムの構成要素全てに変化が起きます。その中には数百年、数千年もの間、先例がなかったこともあり、多くは数世紀持続するでしょう。そうした変化はあらゆる地域で発生し、海洋温度・陸地温度、水循環、氷雪圏、海水位にみられ、異常気象や海洋の酸性化も含まれます。このことは、世界の多くの場所で農業の生産性や水の質・量を低下させ、貧困削減の取り組みを損ない、多くの人びとが移住することになり、生物多様性を大きく損失し、危機に瀕した生態系サービスを退化させることになります。

ケビン・アンダーソン: もし現在の排出率が続けば----排出が削減される見込みのある有意義な政策や根拠を実際に目にすることはまったくないのですが----今世紀末までに4~6℃の上昇の可能性があるという国際エネルギー機関(IEA)の分析と、私は見解を同じくしています。排出削減をせずにいると、2050年から2070年までに4℃の上昇というのはまんざら極端な推定とはいえないでしょう。

コリンヌ・ルケレ: 温室効果ガスは、現在、気候変動を推測するために用いられる炭素に集約したシナリオに従ったもので、2050年頃には約2℃、2100年には4~6℃の温暖化の値を導き出しています。これは非常に高い温暖化数値であるだけでなく、急激な温暖化でもあり、私たちの生態系や社会の適応能力が制限されます。

2℃上昇すると、北極圏では夏に氷結しないことや、北半球では、積雪・氷層が広い範囲で系統的に融解することが予測されています。炭素を大量に含有する永久凍土も含まれます。また、気候パターンの変化が特に北半球でみられますし、水循環の大きな変化も予測されます。それによって一般的に乾燥地帯では乾燥が、湿潤地帯では一層湿度が上がり、洪水や干ばつ、酷暑の激しさと厳しさが増加します。つまり、過酷な事象が増えるということです。

4℃では、環境の変化が予測されます。あらゆる緯度の植生、気象、季節、気候パターンも変化します(例えば、季節風や、ヨーロッパの気象を左右する北大西洋振動)。生物圏との関わりは甚大で、一般の植物や動物がその生息範囲を50パーセント以上失います。適応するためのコストは、それも特に海水準変動への対応や沿岸地域で増大する高潮を防ぐには、膨大になります。

サイモン・ルイス: 22世紀は人間に向き合った課題に数多く対応する世界となるでしょう。私たちは抗生物質に抵抗力をもつバクテリアの進化を先取りするための技術革新を続けなくてはなりませんし、農業生産性を維持するために土壌を健全に守る必要があります。これらは、今世紀に人間の福利を制限しかねないにもかかわらず長いこと無視されてきた様々な問題の二つにすぎません。

年間平均気温の上昇は、3~4℃ではないかと思っています。これは、私たちの子孫が目にする物質的世界を変えることになります。多くの生態系が全く新種の群集となります。生物多様性は劇的に衰退するでしょう。海面は高くなり、都市や島によっては住民が移住しなくてはならないでしょう。降雨量が変化するため、世界規模で農業生産性は厳しくなります。莫大な財源が新たな条件に適応するために費やされるでしょう。

私は人間の状況に賭けをするつもりはありません。地球上の数十億の人びとを維持するために必要とされている環境条件に、現在の経済活動が不利な影響を与えているという事実に対して、どのような反応があるか、私にはまったく分かりません。

壊滅的な気候変動を防ぐために各国政府に必要とされている削減の規模とスピードについて、提案があればお願します。

ロバート・ワトソン: 産業革命前と比べて平均気温の上昇を2℃以内に留める政治的目標を達成するためには、主だった温室効果ガスの排出者全てが即刻行動を起こす必要があります。地球規模の温室効果ガス排出はピークをいち早く、遅くとも2020年までに迎える必要があり、2050年までには現在の排出量の50%以下にすべきです。先進国はその先頭に立つべきです。

早急に低炭素経済へ移行することが必要で、エネルギー、輸送、工業、農林業といった全ての部門で問題に取り組み、炭素税の導入や、個人や企業、政府の活動を変える政策によって補完される低炭素技術の利用が必要となります。

コリンヌ・ルケレ: 政府は特にエネルギー削減の点から、住宅、輸送、家電、ITなどのエネルギーを使用する技術に重点的な投資を行ったり、再生エネルギーの開発・大規模配備を促進する法令の整備を早急に行う必要があります。

排出量が1990年レベルに縮小されるために、先進国は少なくとも年間に3%ずつ削減する必要があります。英国の炭素排出量はこの20年間に年間1%づつの減少ですから、その努力はさらに拡大せねばなりません。中国などの新興経済国がこのような変化と努力をするならば、温暖化を2℃までに制限できる見込みがあります。
 

サイモン・ルイス: 2℃の目標を満たし、将来、先進国と途上国が平等な排出量に到達する可能性を五分五分にするためには、先進国が、今後数10年間にわたり毎年5%を上回る温室効果ガスを削減する必要があります。これが実現可能と考える人はほとんどいないでしょう。大半の化石炭素を地下に留めておく経済規制政策が必要となります。率直に言って、既得権益と関わる政府は、規制によってBP(英国石油)、Statoil (スタトイル)、Shell(シェル)等を基幹産業から外すことに乗り気にはならないでしょう。

ケビン・アンダーソン: この問題は私が主に携わる研究分野と関連しています。貧困国と富裕国が平等で適切なレベルの排出量になるには、英国、米国、EU各国のような国は毎年10%近く削減する必要があります。そのような削減率は前例がないし、現在支持されているレベルの大きく先をいくものです。

地球や人類が直面している厳しい未来へ深い理解を求める仕事に携わる者として、情緒、心理の観点から、個人的にはこの問題にどのように取り組んでいますか?

ロバート・ワトソン: 貧困の撲滅、生物多様性の喪失、食糧・水の安全などの関連する課題とともに、気候変動の課題はあまりに重要です。ですから政府や民間部門に関心が欠落しているからと言って、あるいは市民社会が無頓着だからといって、落胆しているわけにはいきません。私の仕事は、政府、業界、市民社会が、人為的な気候変動に関連したあらゆるリスクを認識するために、コスト効率のよい公正な解決法があるということを、他の科学者とともに確実にすることです。

現在および将来の世代のために私たちは今行動する必要があります。次の世代が、ではないのです。やる気がないからと怠る余裕は私たちの誰にもありません。それを怠れば、次世代は、なぜ安価なエネルギーのために現在のつけを未来に回すのか、なぜ現状を維持して利益をあげる既得権益に対処しないのかと、問うでしょう。

コリンヌ・ルケレ: 最近の調査によると、化石燃料の使用を止めて、エネルギーを使用し支配しているやり方を変更することに、英国民は圧倒的な支持をしています。おおむね2℃に温暖化を制限することも含めて、なんとか平和的に持続可能な世界へ移行できると私は楽観視しています。私も同僚もこうなるように熱心に取り組んでいますし、成功するとの希望を捨て去ってはいません。

ケビン・アンダーソン: 気候変動に直接関わる私たちが自分自身の個人的な削減を明示しないのは逆効果(そして道徳的に受け入れがたい)だと考えます。同僚の多くが私の見解に賛成していませんが。私たちの単独の個人的な排出が重要なのではなく、専門分野の「専門家」としての共同行動が、私たちの研究やその成果の重大性に対する信頼を得ることになります。個人、組織、政府などへ急進的なレベルで削減を実施するように私たちが提言するとしても、「極めて重要な」気候変動国際会議へ向かう途中、高度3万5千フィートからそのメッセージを送るならば、その整合性は損なわれます。

個人の生活をこのように変えることはとても難しいのです。私が義務と感じる排出削減によって、私の人間関係、家族関係や生活の質全てにおいてかなり苦しみがありました。気候変動を研究する私たちの多くが、世界的には言うまでもなく、自分自身の国のなかでも高い排出をしています。私たちのような者が、勢いの衰えない気候変動の影響に対処することは簡単ではありませんが、世界の貧困層より、そして私たち自身の子孫よりも対応することが簡単なのは確かです。

サイモン・ルイス: 科学技術論文を書くことに重点を置く、あるいは状況は複雑に絡み合っているので、それほど憂慮することはないと主張するのは簡単です。全体像ではなく詳細についてのみ考慮するのも簡単です。しかし望みをもって行動することが重要だと思います。科学的な情報は世界の状況を理解するのに重要な手段です。そして世界のさらなる理解は、世界を改善する可能性を高めると考えます。  

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更新日:2014-03-28 11:08:56 ozawa 9  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
[ 原文 ] http://www.zcommunications.org/a-cool-look-at-climate-by-ian-sinclair.html サイトが基本的に翻訳推奨
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