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カナダの巨大鉱山会社と対決するメキシコ農民 / デイビッド・ベーコン

2012年8月2日

メキシコではこの20年余り、国内の裕福なパートナーと提携した外資系大企業が、農村各地で大々的に開発事業を行ってきた。メガプロジェクトと呼ばれる採鉱や資源採取の事業は、北米自由協定(NAFTA)をはじめとする貿易協定や経済改革を巧みに利用している。

環境破壊や住民の立ち退きという代償を払ってでも、外国投資を重視することが1970年代以降のメキシコ政権の開発政策であった。2000年にメキシコ国民行動党(PAN)が長く政権を担った制度的革命党(PRI)を破ったが、この経済開発モデルを変更することはなかった。実際にPANはこの開発政策をそのまま引き継ぎ、むしろ加速し、両政党は下院で協力してこの目標を達成しようとした。

しかしこれらのプロジェクトが政府の上層部の支援を享受する一方、人びとが脅かされていることや環境被害に対して地元の反発が起きている。

環境破壊とそれに伴う経済は、住民が立ち退く原因となった。被害を被っている村の家族らは立ち退かざるをえず、移住し始めている。その一方でプロジェクトは公的支援を受け、連邦政府によって、貧しい農民や村民らの増大する反発から守られている。 

2012年7月1日に行われたメキシコ大統領選挙はメキシコの経済モデルを変化させうる好機であった。貧しい人びとや先住民コミュニティーに、雇用と社会的サービスを提供し、農村の所得を引き上げ、労働や社会権を保障することを約束する政党があった。それらは左派の民主革命党(PRD)の大統領候補アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが提案した政策であった。

しかし2012年の大統領選挙は米国の選挙とうり二つで、PRIとPANの保守2党は莫大な企業献金にものを言わせた。企業寄りの2大ネットワークによるテレビ報道合戦は左派を排除し、「公平な開票」はPRI の返り咲きが確実であることを告げた。結局、旧態依然とした買収による票集めのうねりが報道合戦と相まった選挙となっただけだった。

PRI の返り咲きによってメキシコの社会的現状である企業主導の開発政策に、変化が訪れる可能性はない。巨大な鉱山プロジェクトに直面する農村がこの政策によって被る負担は明白となり、その衝突は頂点に達する気配である。PRI 新政権のもとでこれらの衝突が拡大するのは目に見えており、特に民衆運動に対してPRI は武力を用いてきた歴史がある。

オアハカ州やその他メキシコ南部で高まりつつある鉱山抗議運動は今後の予兆を示している。激しい対立はオアハカの鉱山ですでに勃発しており、ある村では先住民リーダーが暗殺され、操業が開始されてからは、徹底的に村は分断された。会社とその取り巻きは雇用と経済発展を約束している。しかし被害を受けた村落は、鉱山による環境と経済の悪化によって多くの村民が職と生計を失った、と訴えている。

オアハカ州ではフォルトゥナ・シルバー社(Fortuna Silver, Inc.、本社バンクーバー)が、以前採掘をしたサンホセ・デル・プログレソ地区で探索ボーリングを開始した。サンホセは オコトランの小さな町で、州都から1時間南に位置する。人口1200人の住民はヨーロッパによってメキシコが征服される以前、すでに数世紀にわたって話されていた現地語、サポテカ語を話す人びとである。

フォルトゥナ・シルバー社は2006年に探索を開始し5年後にフル操業に入った。労働党の州議員フラビオ・ソサ・ビジャビセンシオによると、2012年には170万オンスの銀と1万5千オンスの金を産出すると同社は見積もっている。鉱石からの年間収益は4億6800万ペソ(3900万ドル)であろうと、ソサ・ビジャビセンシオは言った。

サンホセ・デル・プログレソは先住民の小さな集落があふれる谷間にある。その集落の住民の半数以上が移住していなくなった。絶望的な経済状況では鉱山からの金の影響は大きい。

鉱山反対運動家であり「オコトラン渓谷人民連合[仮訳](COPOVU)」のリーダー、ベルナルド・バスケスはカナダのジャーナリスト、ドーン・ペーリーに、利益に浴した住民もいるし、鉱山に反対して抗議のデモをする住民もいると説明した。町は分裂し、バスケスが言うには、町は分裂し、学校、診療所、そして役場にまで広がった。

2009年には300名の住民が1カ月余り鉱山を封鎖した。遂に2倍の数の警察官が犬や拳銃、催涙ガスやヘリコプターを使ってデモ隊を襲撃した。住民は敗北し、20数名が逮捕された。そして1年後の衝突では市長が殺された。2012年1月には反対派のグループが配水管を設置する作業員に対し、鉱山用に水道を敷設することを非難した。再び警察が出動し、COPOVUのリーダーの一人であるベルナルド・メンデスを射殺した。その後町長は逃げ、町役場は閉じられた。
 

農学者であるCOPOVUのリーダー、ベルナルド・バスケスは、町で武装集団に少なくとも10数回は脅されたと言った。そして州人権委員会は彼を保護する命令を出した。しかし、2012年3月15日の夕方、小型トラックで帰宅途中に武装犯たちに止められ殺害された。彼の兄弟アンドレスとロサリンダ・カンセコは負傷し病院へ担ぎ込まれた。

COPOVU代表者ホルヘ・サンチェスとエウスタシオ・バスケスは、殺害は企業が雇っていたいわゆる「民兵組織」の仕業であると語った。

「私たちに反対する村の人びとに会社が金を渡し、『我々の権利を守ろう』と称するグループを創らせていることを知っている。こうした村民は、以前は何も持っていなかったのに、今では新車を持っている。彼らは殺害と脅しを行う民兵になった。」 フォルトゥナ社はその問題の責任はないとしている。フォルトゥナ社の最高経営責任者ホルヘ・ガノサはカナダのメディアに次のように語った。「フォルトゥナ社および私たちオアハカの社員は、サンホセの長年の地元との政治的紛争に関連したこれらの無分別で連続する暴挙に悲しんでいる。これは私たちの事業に関連したものではないし、会社の職員が関与しているわけでもない。」

オアハカ一帯の地域や抗議運動組織は暗殺を非難した。「オルタナティブ教育サービス[仮訳](EDUCA)」は、こうした暴力事件は政府の開発政策の結果だとしている。

「オアハカは是が非でもメガプロジェクトを進めるための実験場に変わってしまった。大きな鉱山会社の数百万の利益や人的、社会的費用は、これまでと同様に、『紛争好きの先住民』によって支払われるのだ。自分たちの村を守る人びとを無礼にも鉱山会社はこう呼ぶのだ。」

シエラ・フアレスのサポテカ族の地域にあるカプラルパン・デ・メンデス鉱山プロジェクトに反対するオアハカの村のリーダーもベルナルド・バスケスの殺害事件を非難した。2012年3月、村のリーダーたちはナティビダ鉱山の採掘の停止と、鉱山の所有者であるカナダのコンティニュアン・リソーシズ社(Continuum Resources)に与えられている採掘権すべての帳消しを要求した。2004年から2006年の間に同社はシエラの5万ヘクタールの鉱業権を手にしていたが、そのほとんどが共有地であった。

鉱山の環境被害は膨大なものであった。ナティビダ鉱山は2002年に開業した。ほんの4年後の2006年、水の問題が鉱山周辺で深刻になったため環境保護連邦検事は鉱山のすべての操業を停止するように命じた。リーダーたちは頼みにしている帯水層を鉱山が損壊したとして鉱山を訴えたが、実際に13の水源が消滅していた。「水のない村では子孫の生活は成り立たない」と村の供述にある。

カプラルパンの住民によると、川の水は黄色くて異様な臭気がした。村の福祉局の現職員ハビエル・ガルシア・フアレスによると、過去の操業時に出た有毒な残留物のため池をせき止めていたダムのいくつかが2011年に決壊した。数トンの廃棄物が町の共有地を汚染した。この地域の森の木々は、鉱山から掘り出された鉱石から金、銀を取り出すために使用された化学物質で灰色になった。

こうした影響は特にカプラルパンでひどかった。当地は連邦政府観光省から「幻想的な町」と呼ばれていた町だ。シエラ・フアレスは200種を超えるランの産地で、なかには絶滅の危機に瀕しているものもある。今でも住民がジャガー、ホワイトモンキー、オウム、オオハシを目にするのはよくあることであり、ピューマ、オジロジカや小型カササギも見かける。

このような生物多様性にもかかわらず、 2011年に別の鉱山会社ミネラ・テオクィトラ社(Minera Teocuitla)が農地改革局の代理人を伴って現れた。同社はサンダンス・ミネラルズ社(Sandance Minerals)の子会社であり、この親会社の営業手法といえば、すでに閉鎖されている他のプロジェクトに隣接する鉱山を開発するというものだ。同社はナティビダ鉱山の北にあるヘラニオの開発を計画している。鉱山と政府の代表は新しい開発契約を認可するために地元の住民との対話を希望している。

しかし、2011年4月10日、サポテカ村議会はこのプロジェクトを支持しないことを発表した。「先住民としての私たちの権利を行使し、この地で農業をすることから、カプラルパン村は、ナティビダ(Natividad)、ミネラ・テオクィトラ、コンティニュアン・リソーシズ、アルコ・エクスプロレイション(Arco Exploration)各社、そして私たちの土地で鉱物資源の探索や開発を実施するために様々な名義を使用する会社への認可を拒否する。」

ベラクルス州では、カナダのゴールドコープ・リソーシズ社(Goldcorp Resources、本社バンクーバー)が2000年代中頃に、州都ハラパとメキシコ湾の中ほどで2つの露天掘りの掘削に向けて探索を開始した。同社とそのメキシコ子会社であるミネラ・カルデル社(Minera Cardel SA de CV)は連邦政府から2万ヘクタールの採掘権を手にした。

エドガ・ゴンサレス・ガウディアノは地方紙『ラ・ホルナダ・ベラクルス(La Jornada Veracruz)』に鉱山の調査分析を掲載した。そこで彼はこの鉱山は年間に金10万オンスを産出し、その額を、2012年の相場、約1660ドル/オンスとして1億6600万ドルと見積もった。ゴールドコープ社は2つの巨大露天掘りを操業する。鉱石は劇薬のシアン化合物で処理されて金属を抽出する。シアン化合物と金は化合し熔解する。そして金は分離され、大量のシアン化合物の混じった排液が残る。その廃液は野外の溜池に貯められる。

シアン化合物を用いる金の抽出は非常に危険な方法であるが、世界の90パーセント以上の金抽出がこの工法で行われている。ルーマニアでは2000年1月にそうした廃液の溜池にあるダムが決壊し、約10万立方メートルの有毒な廃液と汚泥がドナウ川に流れ込んだ。 シアン化合物の汚水は触れたものすべてを殺しながら、ハンガリー、旧ユーゴスラビアを通って黒海に流れ込んだ。それはチェルノブイリの炉心溶融以来、最悪の環境汚染と言われた。

カバーヨ・ブランコ鉱山では、1トンの鉱石から金が0.5オンスの割合で産出されるので、シアン化合物で処理された選鉱くずは、瞬く間に鉱坑周辺や廃液用の溜池周辺に積み上がるであろう。他の地元紙『ディアリオ・デ・ハラパ(Diario de Xalapa)』によると、金の選鉱に要する水は年に112万立方メートルで、この地方の農家が使用する帯水層を枯渇させる。

さらに危険なのは、メキシコ唯一の原子力発電所であるラグナ・ベルデが10マイル以内と近いことである。鉱石は絶え間ない爆発で地中から掘り出され、1日に最大5トンの火薬類が使用される。ベラクルスのこの地方は地質学的に火山地帯であり、オリサバ山などメキシコで有数の休火山が存在し、それも100マイル以内にあり、特にコフレ・デ・ペロテ山は更に近い。

鉱山のすぐ近くの町、アクトパンやアルト・ルセロでは、土地をゴールドコープ社に売却するように脅されていると、住民たちは語った。ベラクルス市議会や「環境保護イニシアティブ(スペイン語の頭文字でLAVIDA)」とともに活動するベアトリス・トレス・ベリスタインは『ラ・ホルナダ・ベラクルス』紙に次のように報告している。プロジェクトに関する公聴会で「住民たちは不安だと私たちに語った。彼らは脅迫されて、土地を売らなければならないように感じている。ここではあからさまに脅迫が横行しており、彼らは社会環境の抗議を犯罪とみなしている。」

ゴールドコープ社は職を約束し、金や金属が抽出されたら環境を修復すると言った。「しかしそれが不可能なことは分かっている。こんなに破壊された生態系を修復するのは不可能だ。木を伐採して新たに植えることができても、木々や鳥、水などの複合的な生態の連鎖を修復することは決してできない。」とトレス・ベリスタインはレポーターのフェルナンド・カルモナに語った。

2012年2月、”ベラクルスから有毒な採鉱をなくす協定”が環境活動家の州規模の総会で署名された。活動家たちは、天然資源の開発に関する的確な情報を配信し、脅迫の可能性があると警戒を村に呼びかけ、法的措置に着手し、平和的なデモを組織することに積極的に取り組んだ。他にも「メキシコ鉱山被害村ネットワーク[仮称](REMA)」やカバーヨ・ブランコ鉱山に抗議する「反自由貿易メキシコ行動ネットワーク[仮称](RMALC)」などのグループも抗議した。

鉱山による環境破壊はひどく深刻な可能性があるとして、2月28日、ハビエル・ドゥアルテ・デ・オチョ知事は操業への反対を表明した。しかし、メキシコでは州や市町村に、経済の基本方針に関する決定権はない。その権限は連邦政府の手中にある。2012年3月13日、ゴールドコープ社は、メキシコ環境天然資源省(SEMARNAT)から環境影響報告書を受け取ったことを発表した。それは操業に向けての大きな一歩であった。

連邦政府、鉱山の利益に仕える

連邦政府によるゴールドコープ社の認可は、メキシコの資源がもたらす富を実質的に手放してきた過去の4政権の政策と何ら変わらないことを示している。1992年、メキシコ大統領カルロス・サリナス・ゴルタリはメキシコの鉱山法を修正した。 また同年、サリナスは従来の共同体の土地、エヒードの売買が可能になるように農地改革法を改正した。これらの措置はメキシコの巨大プロジェクトに海外から投資することを可能にし、その投資を保護するための改正であった。北米自由協定(NAFTA)が発効するのを目前として、翌年、鉱業のような「戦略的」産業への外国投資の額の上限が削除された。

修正はサリナスの後継者に引き継がれ、幾度となく行われた。PRI のエルネスト・セディージョ政権およびPAN のビセンテ・フォックス政権では、ゴールドコープ社など外国企業に対して、またグルーポ・メヒコなど国内の巨大鉱山カルテルに対して与えた採掘権の数は増える一方であった。採鉱税も廃止された。鉱山会社は採掘権に伴う無償の土地にヘクタール当たり型どおりの支払をすればよいだけである。

ビジネスコラム「メキシコ株式会社」をメキシコ・シティーの左派系日刊紙『ラ・ホルナダ(La Jornada)』 に掲載しているカルロス・フェルナンデス・ベガによると、採掘権を与えられている土地の総数は、2006年のフォックス政権末では2500万ヘクタールにおよび、彼の後任フェリペ・カルデロン政権がスタートして4年後には2倍以上の5100万ヘクタールに達した。

「PAN の2政権下で、独占的に利益を手にするために、国土の約26パーセントが鉱山コンソーシアムに与えられた」とフェルナンデス・ベガは非難し、さらに次のように説明した。2010年にカルデロンは400万ヘクタールにおよぶ採掘権を認可し、引替えにメキシコ政府は2000万ドルを受け取った。採掘権を与えられた海外、国内の企業は150億ドルを生み出し、それは前年の50パーセント増額であった。この額は採掘権に支払う金額の750倍である。

フェルナンデス・ベガは、メトロポリタン自治大学ソチミルコ校(UAM)の研究者、フランシスコ・ロペス・ バルセナスとマイラ・モンセラト・エスラバ・ガルシアによる研究をもとにコラム「鉱物資源か生命か」を執筆している。1910~20年のメキシコ革命と、1930年代のラサロ・カルデナス政権による国家主義的な政策をもとに制定されたメキシコ憲法は鉱業と経済の発展を目標としている。憲法は、天然資源を社会利益のために使い、公共の富を公平に分配し、自然保護に努め、メキシコの人びとの生活を改善する国としてバランスのとれた発展を遂げることを盛り込んでいる、とロペス・バルセナスとエスラバ・ガルシアは述べている。しかし新しい鉱山法は、いかなる潜在資源も利用されるべきで、資源の開発は全てのことに優先する、と唱えている。

「採掘権所有者は、町の占有地の立ち退きを要求することができるので、所有者は自分たちの事業活動を遂行することができる」と先の専門家2名は書いている。「もし土地が食料の栽培に使われているなら、その場所の鉱山開発が可能になるように栽培を止めねばならない。森林や荒野も同様の危険性がある。この合法的な要求は先住民にも適用される。アイデンティティを守る一助となる祭式や神聖な儀式に使用される彼らの土地が整地されるか破壊される。この条項は先住民の権利を守るという ILO 169号条約に違反する。」

先の研究によると、現在の鉱山法の記述には「州や市町村が鉱山事業に使用料を課すことを禁止し、利益を受けるこうした事業活動からいかなる収入も阻むものである」とあり、さらに土地や道路の使用許可料までも徴収することを禁止している。

鉱山は雇用を約束しているが、それはほんの少しで、鉱山による社会的、環境的な損失は高い、とオアハカの活動家は非難している。オアハカ自治大学ベニト・フアレス校のアナ・マルガリタ・アルバラド・フアレスの研究「オアハカの移住と貧困」によると、連邦政府の莫大な支援を受けている鉱山会社はオアハカの労働人口の 0.29パーセントしか雇用していない。メキシコの労働省でさえ、メキシコの鉱山労働者の平均的日当は150ペソ(12.50ドル)と言っている。低い賃金は契約労働者の増加を表している。派遣業者に雇われた労働者が、それまで直接鉱山会社に雇われていた数千人の人びとと置き換わっていた。

他方、オアハカの半分以上の世帯を支えている農業はほとんど行政の支援を受けていないも同然で、小規模農家にいたっては実際に支援はないに等しい。従って鉱山プロジェクトが利益を提供しているのは、地元の住民ではなく、連邦政府に膨大な影響力をもつ大企業の株主に対してである。

「オアハカ州シエラ・フアレス組織同盟[仮称](UNOSJO)」のリーダー、アルド・ゴンサレスは、次のように指摘している。連邦政府が促進した巨大開発プロジェクトは雇用や生活水準を高めるのではなく、むしろ脅かしている。なぜならプロジェクトは「外部で策定され、先住民の領土に押し入り、地元ではなく株主に利益をもたらすようになっているからである。」その結果、「土地や水を奪われた住民や村から抗議されているのである。」 「米墨先住民戦線組織[仮称] Binational Front of Indigenous Organizations(FIOB)」のリーダーは「経済開発は村からの立ち退きを留めることはなく、現実にはむしろ加速している。」と主張する。

ゴンサレスとFIOB のリーダーは鉱山や企業のメガプロジェクトによる開発の代替となるものを見つけるために、オアハカ州および他のメキシコの州の農村全体でさらに大規模な取り組みをすると語った。しかし大規模プロジェクト推進に打ち込む連邦政府との、さらに激しい戦いは避けられそうにない。

デイビッド・ベーコンはフォト・ジャーナリスト。また CIP Americas Program、www.cipamericas.org. の定期的寄稿者である。本記事は、来年、Beacon Press から出版予定の新刊書『The Right to Stay Home』に向けて行った調査に基づいている。本書では、立ち退きや強制移住に抗議するメキシコの運動について考察している。

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更新日:2012-09-21 21:35:20 ozawa 1  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
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