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原発の欠点 『ピークオイル・パニック』より / Jeremy Leggett

原発業界はここ数年、政府の中にいる支持者と一緒になって、原発を長い間のスランプから再び活発にしようと躍起になってきた。

ジョージ・W・ブッシュ一期目のエネルギー政策には新たな原発計画が盛り込まれ、二〇〇五年の総選挙のあとを受けたトニー・ブレアの三期目では、原発推進の気運に盛り上がっている。英米企業が大きなウエイトを占める世界の原発業界だけに、ほかの国にいる熱狂的な推進派ロビーも、両国の動きを期待を込めて見つめている。

私は、核の復活を目論む人たちは五つの理由で失敗すると思う。タイミングと投資、テロリズム、廃棄物、そして前科である。

タイミング

タイミングという点では、原発は、天然ガス液化や石炭液化、バイオ燃料、水素、燃料電池よりも分が悪い。英国では原発の専門家ゴードン・マッケロンが「現在の政策を考えると、二〇二〇年よりも前に原発が新たな電力を供給できる可能性は現実的にはまったくない」と公言している。マッケロンがこう結論するのは、新しい原発の建設がここ一五年間に合意されてこなかった国では、どんな政府であろうと、パブリックコンサルテーションの期間を相当置かなければ、大規模な建設計画に着手できないからである。

原発に否定的だった当時の二〇〇三年版エネルギー白書で英国政府は、原子炉建設の再開は相当な協議なしにはありえないとしている。先進国のほとんどで、原発建設がここ何年にもわたって行われてこなかったことを考えると、これが多くの国に該当するだろう。

マッケロンは、英国で通常のパブリックコンサルテーションをやっていたら、二〇〇八年から二〇〇九年までかかるだろうと論ずる。候補地の選定、事業免許の発行や候補地での公聴会で二〇一三年くらいまでかかるだろう。建設はそれからでないと始まらない。

日本では五年くらいで原発建設計画を突進させてきた歴史があるが、計画の立ち上げから運転に入るまでに一〇年以上かかるのが普通である。そして、ようやく運転が始まる頃には、結局、老巧化した原発を置き換えることにしかならないだろう。今日でも、ほとんどの原発はすでに耐用年数に到達したり、それを過ぎたものばかりなのだから。

国のエネルギー供給という面からは、大規模な原発建設計画も、せいぜい現状を維持することにしかならない。

過去五〇年間に政府や企業などが原発に与えてきた支援に比べると微々たる額に過ぎない支援を再生可能エネルギーや省エネに与えたら、それらの市場は二〇二〇年ころにはどうなっているのか、ちょっと考えてみてほしい。さらに、明日、それらの市場がどうなっているか想像してほしい。数年前、私が太陽光発電つきの家に引っ越したとき、照明や電気器具を省エネモデルに取り替えるという簡単なことをしただけで、家の電力需要の三分の二以上をほとんど一夜にして削ることができた。ソーラーパネルがほかからの電力をまったくいらなくする前のことである。現在原発が電力市場に占めている二三%のシェアを消し去るために、こういう家屋が想像もできないほどたくさん必要になるわけではない。

投資

世界のエネルギー市場の大部分は開放が進んでおり、開放された市場ではどんな発電所を建てるか、どんな発電所を建てないか、最終的な決定を下すのは政府ではなく株主である。

現状では−単純かつはっきり言うと−、原発の経済性のために、原発を投資先として考える金融機関はひとつもない。原発に反対する人々は、たいてい、話をここから始め、ここで結ぶ。

反原発論者は、原発に投資しろと言われても投資家は首をたてに振ろうとしないし、その理由は簡単だと語る。

第一に、原発を計画し建設するには長い時間がかかるため、設備投資をしてから収益が上がるまで最低でも七年は待たなければならない。一方、結合サイクルガスタービン(CCGT)や巨大な風力なら、計画から建設までを二年程度で進めることができる。

第二に、結合サイクルガスタービンのコストは市場にすべて知られている。原発のコストは、未解決の廃棄物問題や事故の可能性など、無限のマイナス要因が資本回収期間を引き伸ばしており、明らかに不透明である。

第三に、原発による発電コストの七割が燃料や営業コストではなく先行投資で占められることを考えると、原発は性能保証における計算の間違いにきわめて敏感である。提案されている次世代原子炉には確たる実績がなく、原発産業はこれまで、性能保証で過大な期待を抱かせながら、その期待に背いてきた前科がある。それに対し、結合サイクルガスタービンは、投資家の眼鏡に適う実績に基づく性能保証付きである。

第四に、原発業界が望むような形で投資を機能させるためには規模の経済が必要になる。例えば、英国では、発電コストを競合できるレベルまで下げるために、BNFL(英国原子燃料会社)は、巨大原子炉(百万kWの出力)が一〇基必要だとしている。一基や二基では役に立たない。

ここでも、投資家は未検証のテクノロジーの影を前に、二の足を踏む。太陽エネルギー業界が大変だと感じる時はいつでも、私は、結合サイクルガスタービンや風力の今日の価格と競合できる電力を・・・これから一五年後あたりには発電できるかも知れないから原発一〇基に何十億ドルもの投資をしてくれと頼んで回らなければならない原発経営者の姿を想像して、自分を元気づけることにしている。

テロリズム

次世代原子炉の必要性を認めるなら、新世代のテロリストが、都会のひとつやふたつを吹き飛ばす方法を見つける可能性も受け入れなければならない。英米が「自ら先例となって」次世代原子炉を導入するなら、原発テクノロジーやノウハウが国際的に拡散することは避けられないからである。それ以外の国も、英米の先導に続くことは間違いない。二〇〇四年に逝った原爆の設計開発者セオドア・テイラーが良心の呵責に悩み、核兵器だけでなく原発にも反対したのはこのためである。必要な手段さえあれば、有能な大学院生が原子爆弾を造るのは簡単だとテイラーは言ったものだった。巨大な原発建設計画が世界中で進められれば、必要な手段はそこら中で手にはいる。

これに加えて、エンジニアリングの学位をとった狂信者が、燃料を満たしたジャンボジェットで原子炉に突っ込みたがる可能性もある。原子炉格納容器どころか、セラフィールドにある高レベル廃棄物貯蔵施設のような、もっともろい施設の強度を、そんな形で試したくはない。適切な風向きで、ジャンボジェットに十分な燃料が積まれていれば、狂信的なテロリストの飛行士は、何百万人もを殺すことができる。

廃棄物

民生用原発の推進者が第ニ次大戦後に原発産業を作り上げた当時、「核サイクルを閉じる」こと−つまり核廃棄物を安全に廃棄できる場所を見つけること−が問題になるとは誰も思わなかった。今日、高レベル廃棄物貯蔵施設を運営する国はどこにもなく、低レベルの廃棄物でさえ、その投棄方法を持て余す国がほとんどである。

原発業界がこの重大な欠陥を取り繕おうとするのを私が最初に目にしたのは、意を決してグリーンピースに参加してからまもなくのことだった。その当時に核廃棄物の投棄場所を見つける目的で設立された英国原子力産業放射性廃棄物管理公社(NIREX)は、自分達がどれだけ努力しているのか自慢する広告をいくつか新聞に出した。

そのうちのひとつには、候補地のひとつであるカンブリア州セラフィールド施設の地質断面図が描かれていた。もちろん、すでに原発のあった場所である。「私たちが核廃棄物の投棄に用いる深度は安全です」と広告は宣言する。

広告には、なだらかに起伏する断層のない岩石層を、地下深くにある廃棄物貯蔵庫まで垂直のシャフトが延びる様子が描かれていた。地質学者として、私は、セラフィールドの地下の岩の状態について熟知していた。そこは断層ばかりで、かなりの岩石層が変位し、文字どおり切断されている。どんな液体がその断層に流れ込んでいるのか、半減期が何千年という単位で計られる放射性廃棄物の地底深い埋設場所にどんな地質学的な力が加わるのか、誰にも分かりはしない。

間違っても、NIREXに分かるはずがない。

投棄場所の安全を証明するために地質学が歪曲されているという私の見方は、それ以来変わっていない。

それが、次の論点にもつながる。

前科

米国で新しい原発がキャンセルされずに建設されたのは、もう三〇年以上も前のことである。ロング・アイランドに建設された原発は稼働直前まで行ったが、一九九四年、地元の反対で破棄された。同じように、英国でも日本でも、反対世論の流れは広く深い。大きな理由のひとつは、よく言えば原発業界の秘密体質、悪く言えばずっと嘘でごまかしてきた業界の前科にある。

原子炉のひび割れや放射性物質の違法投棄、積荷データの改竄、再生可能エネルギーなどの競合するテクノロジーに関するでたらめな情報の流布など、業界が長年行なってきた隠蔽の実態を書いていけば、膨大な量のページが必要になるだろう。したがって、私はタイミング、投資、テロ、廃棄物だけで主な論証を終えようと思う。

それらに加えて、原発を復活させるために原発業界が持ち出す理由が次の三つだと言えば十分だろう。原発は温室効果ガス排出が少ないこと、モジュラー型次世代原子炉は期待できること、そして、彼らが言うところの経済性である。これらの言い分は、業界の前科という文脈から簡単に検討する価値がある。これまでしてきた論証を読んだあとでも、なおかつ原発業界の主張に魅力を感じる人に、いくつかの指摘しておくことが目的である。

まず、原発が、温室効果ガス排出の少ない発電技術であることは仮に認めるとしよう。それを認めない人も大勢いて、そうした人たちは、ウランの採掘や精錬に大量の炭素が必要となること、原発建設に使われる鉄やコンクリート、核燃料や廃棄物の輸送にも化石燃料が必要なことなどを指摘するだろう。

けれども、ここで重要なのはその点ではない。

仮に、原発が温室効果ガス排出の少ない発電技術だったとしても、ほかに、格段に魅力的な選択肢がたくさんあるため、原発はそもそも必要なく、原発を作る意味はない。また、約束される核の楽園ができたとしても、それが世界の汚染するならば意味がない。温室効果ガスを本格的に削減するためには、とてつもない数の原子炉が必要になり、業界は何千トンものプルトニウムを抱え込み、その安全な取扱いと処理に四苦八苦することになる。

次世代原子炉とそれがもたらす経済的な効果はどうだろうか。

業界が盛んに宣伝する原発テクノロジーのひとつはペブルベッド型を採用したガスタービン発電モジュラー型高温ガス炉【「小型高温ガス炉」(PBMR)とも呼ばれる】である。この炉では、炭素で幾重にもコーティングした濃縮酸化ウラン粒子を黒鉛のカプセルで包んだ球形の燃料(ぺブル)が何千も使われる。

この形の炉は南アフリカの国営電力会社エスコムが開発しているが、初期の同型炉が抱える問題を解決し、商用発電ができるのかどうか、まだ未知数である。実際、一九八六年、チェルノブイリ事故の直後に、ドイツの実験炉が、原子炉に燃料を補給するパイプに燃料球を装填した際、放射能漏れを起こした。

その実験炉は永久に閉鎖された。

原発推進派がこの事実を素直に認めるかどうか、注意深く見ておくべきである。

自由化されたエネルギー市場での原発の競争力について、業界が引用したがる低発電コストは、大規模な借金を帳消しにした原発のものであること、そして新規原発のコストは相変わらず高いということは覚えておきたい。IEAによれば、石炭の一キロワット発電コスト一〇〇〇ドルに対して原発は二〇〇〇ドルであり、しかも、これには政府の補助金や廃棄物処理コストは計上されていない。

廃棄物処理コストに関しては、英国の主な原発業者である英国エネルギー社の最近の経験を考えてみるとよい。英国エネルギー社は廃棄物処理のために資本を積み立てておくことになっているが、二〇〇二年にはその積み立てができずに倒産しかかり、英国政府が税金から二〇億ドルを支出して倒産を防がなければならなかった。これですむわけではなく、将来、さらなる出費を覚悟しておかなければならないだろう。

[事故]

最後に、原発についてもうひとつ肝に銘じておかなければならないのは、ヒューマン・エラーの可能性である。これはどんなエネルギー技術にもあてはまるが、原発の場合、エラーがもたらす結果は桁外れに恐ろしいものになる。

一九八六年四月二六日、チェルノブイリ四号炉で、制御操作に失敗した技師たちの姿を想像してほしい。これだけ原発がある時代に、予想のつかない狂気に曝されるのがロシア人の技師にだけだと言えるだろうか。

チェルノブイリ事故で思い出すのは、ソ連当局が損害を食い止めるために殺戮の現場に送り込んだ消防士のひとりヴァシリー・イグナテンコのことである。

ヴァシリーがそれから病院で辿った緩慢な死を、妻のリユンドミラが次のように語る。

「夫は変わり始めました」。彼女は当時を回想してそう語る。

「毎日、私は新しい人間に会ったのです。やけどが表面に出るようになりました。夫の口や、舌、頬−最初は小さな傷で、それが大きくなるのです。それがぼろぼろと剥がれるのです。白いフィルムのように・・・・・・彼の顔色は・・・・・・身体の色は・・・・・・青くなり、赤くなり、灰褐色になりました。それもみんな私のヴァシリーだったのです」。

リユンドミラは悲しみにうちひしがれながら、一四日間の長きにわたり、夫がこうしてゆっくりと死んでいくのを見続けた。

チェルノブイリのように、確率は低いが恐ろしい結果を引き起こすヒューマン・エラーによるものであれ、まさに原発が存在することで可能となる核装置の爆発によるものであれ、こんな惨事が、たとえもうひとりだけの身の上にでも繰り返されることを誰が願うだろう。

原発自体が不要なのに、どうしてこんな悲劇を体験する必要があるのだろうか。

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更新日:2011-08-25 18:19:06 kmasuoka 1  del.icio.usに追加   はてなブックマークに追加   twitterに投稿   facebookでshare
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